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SDGs16「平和と公正をすべての人に」の詳細を事例を交えて紹介!

SDGs

国連によって採択され、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標」を設定して全人類を挙げて取り組むSDGs。
地球環境や社会のシステムを維持するための17の目標と、それに伴う169のターゲットについて、一つずつ事例を交えて解説していきます。

あらゆる国や地域で非差別的な法規を整備し、制度によって平和な社会の実現を目指す

「目標16.平和と公正をすべての人に」は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」ことを目的としたものです。
これに付随して、以下のターゲットが設定されています。外務省の資料より引用してご紹介します。

●「目標16.平和と公正をすべての人に」のターゲット

16.1 あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。

16.2 子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。

16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。

16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。

16.5 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。

16.6 あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。

16.7 あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。

16.8 グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。

16.9 2030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。

16.10 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。

16.a 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。

16.b 持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。

(出典:外務省仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」)

「人としてすべきではないことの排除」と「人が行使できる権利の獲得」に取り組む

この目標16で取り上げられているのは、「人」そのものの問題です。
ターゲットには、暴力、虐待、搾取、拷問、違法な資金、武器の取引、汚職、贈賄など、人としてすべきではないことが並んでいます。そしてこれらを、あらゆる場所・形態において減少・撲滅させるとしています。
その手段として、第一に必要とされているのが非差別的な法規の整備。法により犯罪やテロなどを取り締まるだけでなく、人権を回復・保護するためにも国家及び国際的なレベルで法規を正常に機能させることが求められています。
これは他の目標でも取り上げられている不平等や貧困、福祉、教育、働きがいといった課題とも関連する包括的な目標といえるでしょう。
ターゲットでは開発途上国や紛争地帯にウエイトが置かれていますが、もちろんそれだけではなく、日本でもDVや児童虐待、ネグレクトなどが身近な問題となっています。汚職や贈賄のニュースも絶えることはありません。
また、開発途上国においては、そもそも子どもが生まれても出生登録をしないケースさえ多いのです。登録しなければその子どもは存在が記録されず、人として受けるべき権利も与えられないことになってしまいます。
こうした問題を一つひとつ、国際協力や人道支援などを通じて解決し、平和な社会の実現を目指すのがこの目標16です。

平和と公正をすべての人に提供するための取り組み

●教育・研究機関の取り組み事例/国連大学

国連大学は日本に本部を置き、国連とその加盟国に対し共同研究や教育を通じて寄与することを目的とした機関です。
グローバルなシンクタンクであると同時に、大学院の教育機関としての役割も持っています。
SDGsに関しては、すべての目標を網羅した幅広い研究を手がけ、世界各地に有する研究機関において、400人以上の研究者が180以上のプロジェクトに従事しているとのことです。
その中で目標16については、国連による紛争予防・解決の取り組みを支援し、制裁と調停の効果を高めるための分析などを行っています。
また、子どもたちが過激な暴力や武装グループに巻き込まれるのを防ぐため、その実態を明らかにしながら効果的な方法の研究に取り組んでいます。
さらに、難民や移民の移住問題に関して、各国が移住と開発に関連した政策の一貫性を高めるための指標を示すなど、大局的な観点から平和な国際社会づくりに貢献しているのです。

●企業の取り組み事例/第一生命グループ

第一生命グループでは、サステナビリティの実現に向けSDGsの17の目標すべてに取り組んでいます。
このうち目標16については「企業ガバナンス・リスク管理の向上」を重要課題とし、取り組み内容としては「適切な経営判断を実現するバランスの取れた取締役会構成」「グループの事業運営においてコンプライアンスを推進していく態勢整備」「すべての取引において反社会的勢力との一切の関係遮断・被害防止」「ITがもたらすビジネスへの価値の最大化とリスクの最小化」を掲げています。
例えば反社会的勢力への対応では、「グループ反社会的勢力対応基本方針」に沿って規程を制定し、反社会的勢力の排除態勢を整備。
状況をモニタリングしながら指導や支援を実施するとしています。
さらに外部専門機関である警察署、暴力追放運動推進センター、弁護士などとの連携体制の構築も図っているとのこと。
その他の取り組みに関しても、それぞれグループ内での基本方針を設け、厳しい姿勢で臨んでいます。

地球上の誰ひとり取り残さないためのSDGs17の目標

SDGsには17の目標が定められており、そこに具体的な169のターゲットが設定されています。
では17の目標を見てみましょう。

【持続可能な開発目標】

SDGs1.貧困をなくそう
SDGs目標1「貧困をなくそう」は、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことを目的としたものです。

SDGs2.飢餓をゼロに
「目標2.飢餓をゼロに」は、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことを目的としたものです。

SDGs3.すべての人に健康と福祉を
SDGs目標3.「すべての人に健康と福祉を」は、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを目的としたものです。

SDGs4.質の高い教育をみんなに
SDGs目標4.「質の高い教育をみんなに」は、「すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを目的としたものです。

SDGs5.ジェンダー平等を実現しよう
SDGs目標5.「ジェンダー平等を実現しよう」は、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」ことを目的としたものです。

SDGs6.安全な水とトイレを世界中に
SDGs目標6.「安全な水とトイレを世界中に」は、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことを目的としたものです。

SDGs7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
SDGs目標7.「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ことを目的としたものです。

SDGs8.働きがいも経済成長も
SDGs目標8.「働きがいも 経済成長も」は、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことを目的としたものです。

SDGs9.産業と技術革新の基盤をつくろう
SDGs目標9.「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことを目的としたものです。

SDGs10.人や国の不平等をなくそう
SDGs目標10.「人や国の不平等をなくそう」は、「各国内および各国間の不平等を是正する」ことを目的としたものです。

SDGs11.住み続けられるまちづくりを
SDGs目標11.「住み続けられるまちづくりを」は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことを目的としたものです。

SDGs12.つくる責任 つかう責任
SDGs目標12.「つくる責任 つかう責任」は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目的としたものです。

SDGs13.気候変動に具体的な対策を
SDGs目標13.「気候変動に具体的な対策を」は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことを目的としたものです。

SDGs14.海の豊かさを守ろう
SDGs目標14.「海の豊かさを守ろう」は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目的としたものです。

SDGs15.陸の豊かさも守ろう
SDGs目標15.「陸の豊かさも守ろう」は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目的としたものです。

SDGs16.平和と公正をすべての人に
SDGs目標16.「平和と公正をすべての人に」は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」ことを目的としたものです。

SDGs17.パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs目標17.「パートナーシップで目標を達成しよう」は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを目的としたものです。

網羅性のある内容が、わかりやすい言葉で示されています。
これらは地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを前提に定められたもの。その背景には、前身であるMDGsが発展途上国の問題の解決にウエイトが置かれており、偏りがあると指摘されていたことがあります。

改めて地球上のすべての人が協力して取り組むべき目標として掲げられたSDGs。
17の目標それぞれの詳しい内容やターゲット、事例については、別の記事で紹介していきます。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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