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SDGs12「つくる責任 つかう責任」の詳細を事例を交えて紹介!

SDGs

国連によって採択され、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標」を設定して全人類を挙げて取り組むSDGs。地球環境や社会のシステムを維持するための17の目標と、それに伴う169のターゲットについて、一つずつ事例を交えて解説していきます。

生産者と消費者が共に限りある資源を未来へ渡す仕組みづくりを目指す

「目標12.つくる責任 つかう責任」は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目的としたものです。
これに付随して、以下のターゲットが設定されています。外務省の資料より引用してご紹介します。

●「目標12.つくる責任 つかう責任」のターゲット

12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。

12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。

12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。

12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

(出典:外務省仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」)

消費者一人ひとりが身近な問題ととらえ、行動することが貢献につながる

この目標12は、消費者である私たちに直接関わりのある課題です。
身近なところでは、食品の廃棄やリサイクルといった誰もが見聞きしている問題が挙げられています。
私たちは生産されたものを消費しているわけですが、当然その生産には地球の持てる天然資源やエネルギーが使われています。
その資源やエネルギーの消費量が、地球のキャパシティーを上回っているというのが現状です。
このままでは資源が枯渇するため、生産者も消費者も責任を持って適正な利用に取り組むというのがこの目標の骨子といえるでしょう。
生産に関しては、影響力の大きい大企業や多国籍企業を中心とした先進国がリードし、資源の効率的な利用や管理を行う方向性が示されています。
それと並行して消費者の意識や行動も求められており、私たちが日常生活で食品の買いすぎや廃棄をしないように気をつけるといった身近なことがこの目標への貢献となるのです。
大量生産・大量消費が経済成長の一つの目安とされていた時代は過去のもの。限りある地球の資源を未来のために守っていく取り組みが、いま求められています。

世界における持続可能な生産消費形態の確保のための取り組み

●企業の取り組み事例/Asda(アズダ)

イギリスの大手小売業者としてスーパーマーケットを展開するAsdaでは、大豆、パーム油、カカオといった農業製品の取り扱いに関して天然資源に配慮した取り組みを行っています。
これらの製品は、農地開拓により森林破壊が進むことが問題となっており、それを抑制するために適切な農法で生産されているもののみを取り扱う方針を打ち出しました。
大豆については独自に認証大豆制度の導入を図るなど、具体的な計画が進められています。
一方でプラスチック削減のための取り組みとして、「サステナビリティストア」の実現も目指しています。
これは来店客が容器を持参して商品を購入するリフィルコーナーを店舗に設けるもので、2020年5月に試験的にオープンされる予定です。
自社ブランドや仕入れ先である食品メーカーなどの協力により、量り売りの商品を揃えるとともに、野菜や果物などの包装もプラスチックを使用しないといった方針が発表されています。
来店客をモニター化して、顧客満足度とのバランスを図っていくことも予定され、成果が得られれば他の店舗にも展開していくとのことです。

●企業の取り組み事例/TBM

日本のベンチャー企業であるTBMでは、紙やプラスチックの代替素材「LIMEX」を開発し、世界的に注目されています。
この素材は石灰石を主成分に、水や木材をほとんど使わずに生産できる点が大きなメリット。というのも、石灰石は世界中に豊富に存在し、日本でも自給率が100%を超える資源なのです。
しかも、紙に比べ生産時の水の消費量を98%削減できるとのこと。耐水性や耐久性が高く、コストも紙とそれほど変わらないという画期的な製品です。
しかもリサイクルに関しては、紙やプラスチックのリサイクルが大量の水を必要とするのに対し、これも水をほとんど使用せずに再生することができます。
また、付加価値をつけて他の製品に生まれ変わらせるアップサイクルも可能なのです。
さらに、プラスチックの代替製品として利用した場合、日本では「容器リサイクル法」の対象外となるため、企業がプラスチックのリサイクル時に支払っているリサイクル委託金を必要としないというメリットもあります。
海外の300社以上の企業から問い合わせがあるといい、技術輸出も目指しているとのこと。
開発途上国でも生産が可能なため、将来的には世界中で雇用の創出を実現していくとも見なされています。

●企業の取り組み事例/大建工業

日本最大級の建築資材の総合企業として知られる大建工業。
同社は、1945年の創業当時から一貫してアップサイクルを行っている企業です。
創業当時から主力の合板事業は基本的に木材を有効活用して作られており、製材端材や廃材をウッドチップ化し再利用し製品化する、アップサイクルの先進企業です。

▼参照:DAIKEN魂!
未利用資源を有効活用! 創業時からアップサイクルや社会課題解決に取り組む大建工業

地球上の誰ひとり取り残さないためのSDGs17の目標

SDGsには17の目標が定められており、そこに具体的な169のターゲットが設定されています。
では17の目標を見てみましょう。

【持続可能な開発目標】

SDGs1.貧困をなくそう
SDGs目標1「貧困をなくそう」は、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことを目的としたものです。

SDGs2.飢餓をゼロに
「目標2.飢餓をゼロに」は、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことを目的としたものです。

SDGs3.すべての人に健康と福祉を
SDGs目標3.「すべての人に健康と福祉を」は、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを目的としたものです。

SDGs4.質の高い教育をみんなに
SDGs目標4.「質の高い教育をみんなに」は、「すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを目的としたものです。

SDGs5.ジェンダー平等を実現しよう
SDGs目標5.「ジェンダー平等を実現しよう」は、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」ことを目的としたものです。

SDGs6.安全な水とトイレを世界中に
SDGs目標6.「安全な水とトイレを世界中に」は、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことを目的としたものです。

SDGs7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
SDGs目標7.「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ことを目的としたものです。

SDGs8.働きがいも経済成長も
SDGs目標8.「働きがいも 経済成長も」は、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことを目的としたものです。

SDGs9.産業と技術革新の基盤をつくろう
SDGs目標9.「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことを目的としたものです。

SDGs10.人や国の不平等をなくそう
SDGs目標10.「人や国の不平等をなくそう」は、「各国内および各国間の不平等を是正する」ことを目的としたものです。

SDGs11.住み続けられるまちづくりを
SDGs目標11.「住み続けられるまちづくりを」は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことを目的としたものです。

SDGs12.つくる責任 つかう責任
SDGs目標12.「つくる責任 つかう責任」は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目的としたものです。

SDGs13.気候変動に具体的な対策を
SDGs目標13.「気候変動に具体的な対策を」は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことを目的としたものです。

SDGs14.海の豊かさを守ろう
SDGs目標14.「海の豊かさを守ろう」は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目的としたものです。

SDGs15.陸の豊かさも守ろう
SDGs目標15.「陸の豊かさも守ろう」は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目的としたものです。

SDGs16.平和と公正をすべての人に
SDGs目標16.「平和と公正をすべての人に」は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」ことを目的としたものです。

SDGs17.パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs目標17.「パートナーシップで目標を達成しよう」は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを目的としたものです。

網羅性のある内容が、わかりやすい言葉で示されています。
これらは地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを前提に定められたもの。その背景には、前身であるMDGsが発展途上国の問題の解決にウエイトが置かれており、偏りがあると指摘されていたことがあります。

改めて地球上のすべての人が協力して取り組むべき目標として掲げられたSDGs。
17の目標それぞれの詳しい内容やターゲット、事例については、別の記事で紹介していきます。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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