【SDGs Vol.2】SDGsの目標2「飢餓をゼロに」の詳細を事例交えて紹介!
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地球環境や社会のシステムを維持するための17の目標と、それに伴う169のターゲットについて、一つずつ事例を交えて解説していきます。
地球上の8億人を超える飢餓人口を救うための目標
これに付随して、以下のターゲットが設定されています。外務省の資料より引用してご紹介します。
●「目標2.飢餓をゼロに」のターゲット
2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.2 5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
2.b ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。
2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。
(出典:外務省仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」)
「突発的な飢餓」と「慢性的な飢餓」の両方を支援
世界の飢餓人口は2017年の時点で8億2100万人とされ、これは実に地球上の全人口の9人に1人が飢餓状態にあることを示しているのです。
飢餓には「突発的な飢餓」と「慢性的な飢餓」があると定義されています。
「突発的な飢餓」とは、自然災害や紛争などで一時的に、また急激に食糧が不足すること。干ばつや洪水のように、特定の地域で起こるもので、緊急食糧支援によって解消が図られます。
「慢性的な飢餓」とは、主に産業・経済に起因するもので、継続的に食糧を手に入れることができない状態が続くことによります。生産性の低さや賃金の安さといった構造的な問題をはじめ、政治や環境などの要因が関係しているため、一時的な食糧支援ではなく自立支援が必要とされています。
世界の団体や企業による飢餓撲滅のための取り組み
国連WFP(World Food Programme)は、国連唯一の食糧支援機関で、飢餓と貧困の解消を目的に活動しています。
災害や紛争などの「突発的な飢餓」に対する緊急支援と、「慢性的な飢餓」に対しては母子などの栄養状態の改善、学校給食の提供などを実施。支援の対象は約80ヵ国に及び、年間約8000万人に食糧支援を続けています。
緊急支援は急を要するため、48時間以内に食糧を届けるようあらゆる手段を尽くすとのこと。近年の主な実績としては、2011年に起こったシリア内戦、2013年のフィリピン台風、2015年のネパール地震やエボラ出血熱などへの支援があります。そして、東日本大震災や熊本地震の際にも支援が行われました。
また難民キャンプなどで重度の栄養不良に陥っている子どもたちへの栄養補助食品の供給や、飢饉が発生した地域などへの継続的支援も実施されています。
国連WFPでは常時寄付を募っており、寄付を通じて誰でも支援の一端に参加できるようになっています。
●企業の取り組み事例/ウールワース
オーストラリアに本社を置くウールワースは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどを多角的に展開する企業です。同社は南アフリカ共和国の農業を支援するために、「Farming For the Future」というプログラムを実施しています。
これは土壌を改良し、生産性を高めるとともに、合成肥料や除草剤などの化学物質の使用を減らすことにより、水質や生物多様性の維持にも貢献するというものです。
2011年に14軒の農家が参加してスタートしたこのプログラムは、2018年には196軒に増加し、農業専門家の監査を受けながら進められているとのこと。2017年の監査の結果では、土壌中の炭素が34%し、水使用量は23%、化石燃料使用量は18%がそれぞれ減少。
未来のための持続的なプログラムとして、評価も高まっています。
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