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コーポレートブランディングと企業理念・概略編

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企業理念は、コーポレートブランディングや商品・サービスのブランディングを考えるにあたって、非常に重要な要素です。
企業によっては、経営理念あるいは社是、フィロソフィ(哲学・世界観など)、また行動指針とかステートメント(表明)と呼んでいる場合もあります。文章表現として精緻化し、成文化された理念もあれば、社風や企業文化のように、なんとなく感じられるが明確には掲げられていない、というケースも存在します。しかしながら呼び方は何であれ、大事なのはそこに込められた「想い(マインド)」です。

それゆえに「企業理念とは何ですか?」という問いに対しては、十人十色の答えが返ってくるでしょう。その成り立ちや策定の仕方、役割、浸透方法などについて詳しく述べようとすると、厚い本が一冊かけてしまうくらいですが、この記事ではそんな「企業理念」について、ごく簡単に概要を解説いたします。

この「ブランディングnote」でも関連するトピックを紹介していますので、ぜひご参照ください。

企業理念のない企業は存在しない

ビジネスを始めようとするとき、そこには「なぜその事業を選んだのか」という理由が必ずあります。ラーメン屋さんを開業する場合で考えてみましょう。「他にはない美味しいラーメンを食べてもらいたい」「老舗の名店の味を受け継ぎ、残したい」「お客さんを喜ばせたい」「自分がラーメン好きだから」…これらはすべて「企業理念の出発点」です。事業構想が具体化していくにしたがって、ではどんなラーメンで他店との差別化を図っていくのか、どの地域で、どんな人々を対象に販売していくのか、などが明確になっていきます。

この過程で「他人に邪魔されずわずらわしさのない食空間」であるとか「女性も利用しやすい快適でリラックスできる店」などといった、より具体的な独自の価値が浮かび上がってきます。これらすべてが企業理念要素であり、それを実際の形にしたものが店であり、企業なのです。

ブラック企業でさえ、理念は存在します。「うちはとにかく利益追求が第一だ。サービス残業がなんだ、文句を言わずにオーナーである私の言うことを聞いて、お客を騙してでも働け」という方針のブラック企業があったとしたら、それを信念として掲げ、社員の指針として事業を展開するわけですから、まさしく悪のブラック企業としての「理念」なのです(もちろん、そのような企業は社会に受け入れられず排除されてしまいます)。

自覚的(先天性)理念と無自覚(後天性)理念

企業理念には、スタート時から意識されている「先天性」のものと、後になってその必要性を自覚し、明文化に至る「後天性」のものがあります。

「我々はこういう方針でビジネスを進めていくのだ」ということが企業として意識的に自覚されていれば、その企業は先天的に理念を持っていることになります。

一方、夢中で事業を展開するあまりそのようなことには無自覚だったが、ふと気付いてみると自分たちはこのような価値を社会に提供することで成長してきたのだ、と後になって意識したなら、その企業の理念はこのとき後天的に生まれたと言えます。ただしその萌芽は、初めからその企業が内包しているのです。

一例として、日立グループの企業理念を紹介しましょう。日立グループの事例は、先天性の理念を企業の成長に合わせて見直し、改めて磨きをかけて後天的に体系化した好例です。

日立グループ・アイデンティティ:日立 (hitachi.co.jp)
企業理念(MISSION):優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する
日立創業の精神(VALUES):和・誠・開拓者精神
日立グループ・ビジョン(VISION):日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。
優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界をめざします
企業スローガン:Inspire the Next

日立グループでは、もともと「企業理念」と「創業の精神」が理念として存在していました。創業者である小平浪平の信念を継承したもので、これを企業理念(=MISSION)および創業の精神(=VALUES)として位置づけ、「さらにこれからの日立グループのあるべき姿を改めて示した日立グループ・ビジョン」(同社webサイトより)を加えて体系化したものを「日立グループ・アイデンティティ」と呼びました。

冒頭でも述べたように、理念に関する用語の定義は企業によってまちまちです。日立では企業の理念的要素体系全体を指す大きな概念を「日立グループ・アイデンティティ」、企業の使命であるMISSIONの部分を「企業理念」と称しているのです。これが現在の日立グループにおける事業すべての、精神的アイデンティティの根幹を成しています。

一般的にはVALUESは社会に提供を約束する、その企業独自の価値を指します。MISSIONを展開するためにより具体化された概念であり、同時に掲げたMISSIONに裏付けられたものでなくてはなりません。時代や経営環境が変化すれば提供すべきVALUES、価値も変容しますが、日立の場合は日立独自の普遍的な「創業の精神」を価値として掲げているため、MISSION同様ゆるぎないものとされています。

理念体系のモデル例

企業理念は過去、多くの先人や研究機関などによって様々な定義や体系に関する考え方が示されてきました。よく用いられるモデルとしては、日立グループのような「MISSION・VALUES・VISION」の基本要素に「SPIRIT(行動指針)・SLOGAN(スローガン)」などの付随要素を組み合わせる考え方です。

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あるいは、使命(MISSION)を軸に自分たちは何を目指し(信条)、どういう存在でありたいか(自己規定)を事業活動の中から抽出して、事業戦略とからめたVISIONを設定していく、という方法論で考えるモデルもあります。

いずれにせよ、企業理念は天やコンサルティング会社から与えられたり教えてもらうものではなく、自分たちの中に、企業のオリジンと最前線のなかにこそ存在しているものです。それを丁寧に発掘し、磨き上げ、次の時代を照らすにふさわしい輝くものにするプロセスが重要なのです。
以下に、代表的な企業の企業理念を例として掲げます。表現方法も体系化の考え方も、企業によって異なり「これこそが正しいセオリー」というものはありません。ただ、どの企業にとっても企業理念が精神的なバックボーンとして機能しており、必要性・重要性が認識されていることは間違いないでしょう。
戦略的なコミュニケーション活動を通じて企業の内側・外側にその意味や価値を共感してもらうことが、コーポレートブランディングには不可欠なのです。

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