コアコンピタンスとは 自社の真の強みを見極め、競争優位性を得る
ブランディング
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ビジネスシーンで「コアコンピタンス」という言葉を耳にする機会があると思いますが、その意味をちゃんと理解している人は意外と少ないようです。 しかし、経営戦略を立てる上で、自社のコアコンピタンスを理解しておらず、活用もしていないとなると、それは企業にとって大損失といっても過言ではありません。 企業ブランディングにおいても、コアコンピタンスは大切な要素となります。
他社との違いを生み出す、コアコンピタンス
それではコアコンピタンスとは、いったい何なのでしょうか。 コアコンピタンスとは、「core competence (中心的な能力)」……すなわち、事業において他社と比較して特に優れている中核の技術・能力のことをいいます。「競争優位性」という言葉で表現されることもあります。
このコアコンピタンスは、1990年にロンドン・ビジネス・スクール教授のゲイリー・ハメルとミシガン大学ビジネススクール教授のC.K. プラハラードの両氏が1990年に論文で発表し、1995年に発行された「コアコンピタンス経営」という書籍がベストセラーになることで広く知れ渡った概念です。
自社の武器となるコアコンピタンスを正確に把握していれば、適切なタイミングでの投資が可能となり、無駄なコストを抑えることができます。ただし、コアコンピタンスは社会状況や時代によって変化するため、現時点でのコアコンピタンスを常に見つけ出し、更新していくことが大切です。
同じような意味をもつ言葉として「ケイパビリティ」があります。「capability(能力)」という意味で、企業におけるケイパビリティとは、その企業がもつ組織的な能力・強みのことをいいます。コアコンピタンスが優れた特定の能力・技術のことを指すのに対し、ケイパビリティはバリューチェーン全体に影響する組織としての能力・強みのことを指します。
コアコンピタンス 3つの条件
コアコンピタンスとして認められる自社能力は、下記の3つの条件を満たす必要があります。 >
1.顧客に利益をもたらす能力
自社の利益だけでなく、顧客にとって利益になるものである必要がある。
2.競合他社に真似されにくい能力
他社が簡単に模倣できないものである必要がある。
3.複数の商品・市場に応用できる能力
1つの分野だけでなく、さまざまな分野に応用できる能力である必要がある。
コアコンピタンスを特定する「コアコンピタンス分析」
自社のコアコンピタンスを特定するには、コアコンピタンス分析を行うのが効率的です。 その方法を簡単にご紹介します。
(1)自社の事業、製品、サービス、技術、人材など、思いつく要素をすべて書き出す。
(2)それぞれの要素で、関係しているものを線で結ぶ。
(3)より多くの線が集まっている要素が、コアコンピタンス候補となる。
最後に、抽出したコアコンピタンス候補に対し、それぞれ「コアコンピタンス 3つの条件」で紹介した3つの条件を満たしているかをチェックします。この段階で3つの条件も満たしているものがあれば、それが自社のコアコンピタンスといって良いでしょう。3つすべてを満たさなくてもいくつか条件を満たしているのであれば、それは自社の強みといえます。
自社のコアコンピタンスを特定し、効果的に活用することで、経営戦略の成功確度は大きく変わってきます。企業ブランディングを行う上でも、自社の個性や武器を認識しておくことは需要ですので、いまだにコアコンピタンスがあいまいな企業の方は早急に洗い出しをしておくことをおすすめします。
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