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細田悦弘の企業ブランディング 〈第16回〉 経糸と緯糸で紡ぐ!サステナビリティ経営

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経営とは 「経(たて)に営む」と書きます。理念(パーパス)の実現という経(たて)糸は、経営の王道です。ただ、時代にふさわしい企業像を描きたいのであれば、緯(よこ)糸が肝心です。この緯糸こそが、いま求められる「サステナビリティ」です。

経糸と緯糸

経営は、機織(はたおり)に例えられます。織物の縦糸のことは「経糸(たていと)」、横糸のことは「緯糸(よこいと)」と書きます。織物はまず、経糸をしっかり張って、そこに緯糸で彩りをつけていきます。縦糸そのものが脆弱であったり、張り方が弱かったりすると、まともな織物はできません。経糸を通す段階で、「何のために何を織ろうとするのか」を決めておき、その上で緯糸を織り込み模様や柄を描きます。どんなに素晴らし緯糸を織り合わせても、経糸がしっかり張られてなければ良い織物できません。逆に、昔からの同じ柄ばかり織っていたら、陳腐化し時代に取り残されてしまいます。だからこそ、環境の変化にしなやかに適応し、時流をとらえた柄を創出して織っていくことが、のれんやブランドを守り育てる秘訣となります。

経営は、経(たて)に営む

経営でいう経糸は、「企業がなんのために事業を営んでいるのか」を示す企業理念であり、 社会における存在意義であるパーパス(Purpose)です。これ実現することが、企業の目的とすれば、「経営とは、経(たて)に営む」と書く深い意味あいを噛みしめることができます。緯糸は商品・サービス等の価値提供と捉えられます。時代に即した価値提供を緯糸として織りなすことができるように、経糸は見えないところで芯として働いており、一定不変の原理原則です。その意味では、まさに「経営とは哲学」であり、理念的な営みといえましょう。
◎企業理念・パーパスを具現化する側面が「経糸」
◎時代と調和し、価値提供をする側面が「緯糸」 経糸と緯糸の絶妙な織り成しが、企業の永続発展の生命線です。

多くの企業の理念には、創業時より「社会を豊かにする」「進取の気性」といった文言が掲げられています。創業者をはじめとする先人は、その当時の社会を豊かにするためにあくなき挑戦をしてきたとすれば、時を経た現代においても、軸となる理念に則り、今この時代の社会を読み切って果敢にチャレンジすることで、のれんやブランドを守り育てることができます。

緯(よこ)糸とサステナビリティ経営

大事なことは、時を超えてブレない経糸に、時代と調和する緯糸を織り込むことです。それが持続的成長・中長期の企業価値向上をもたらすということです。経糸は、時が経っても「変わらないもの」で、緯糸は環境の変化に対応し「変えていくもの」で、時代が求めるコンセプトです。経糸は創業以来の信念やフィロソフィーであり、いつの時代もしっかり張り続けなければなりません。そこへ、時代の要請と期待である「サステナビリティ」という緯糸を織り込むことです。これがサステナビリティ経営の真髄です。経糸である本来の経営に、緯糸の時代性であるサステナビリティを融合した、サステナビリティ経営は、現代経営そのものといえましょう。

ブランドに磨きをかける、サステナビリティ

サステナビリティが組み込まれた経営戦略に、『自社らしさ』が醸し出せれば、サステナブル・ブランディングにつながります。時代の変化への対応を怠ると、ブランドは錆びます。ブランドは老けます。そうならないように、時代にふさわしく磨きあげ精緻化(リファイン)する要素がサステナビリティです。

企業は、「社会」や「地球環境」を前提に存在しています。健全な社会や地球なくして、持続的な企業活動を実現することができないのは、気候変動よるに災害や露呈する社会課題、そしてコロナ禍でも身に染みることになりました。これまでの企業は、経済性を主眼として評価されがちでしたが、これからはサステナビリティ視点によって、社会から一目置かれる存在となるでしょう。

そして、自分たちしか生み出すことができない独創性・卓越性ある価値と、自社ならではの役割をいかに果せるかが肝となります。それが、サステナビリティ時代の企業ブランド力です。コーポレートブランドにサステナビリティをビルトインするのが「サステナブル・ブランディング」であり、「時代に選ばれ、次代にも輝き続ける会社」であるための戦略メソッドです。

今回は、経営とサステナビリティを融合させる意義の「経緯(いきさつ)」を、経糸と緯糸で解きほぐしてみました。

【細田悦弘 プロフィール】

中央大学大学院 戦略経営研究科フェロー、一般社団法人日本能率協会 主任講師
企業や大学での講演・研修講師・コンサル・アドバイザーとしても活躍中。
CSR・ブランディング・コミュニケーション分野において豊富な経験を持ち、 理論や実践手法のわかりやすい解説・指導法に定評がある。
※本文著作権は細田悦弘氏に所属します。

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