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細田悦弘の企業ブランディング 〈第7回〉サイエンスとアートの統合思考でつかむ!サステナブル・ブランディングの要諦

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サイエンスとアートの統合思考で、時代にふさわしいブランド戦略の黄金律が見えてきます。
サステナビリティ時代の企業ブランディングの要諦とシンクロさせて解説します。

「サイエンスとアートの統合思考」とサステナブル・ブランディング

前回のコラムにて、山口周氏の著書「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」を取り上げました。
本著では「サイエンス(論理・理性思考)」と「アート(直感・感性:美意識)」のバランスが、経営やビジネスのクオリティを高めるという示唆に富んだセオリーが提示されています。

これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足を置いた「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においては、「論理的・理性的な情報処理スキルの限界」を招きます。
多くの人が分析的・論理的な情報処理のスキルを身につけた結果、世界中の市場で「正解のコモディティ化(どれも同質化し差別化ができなくなってしまった状態)」が発生してしまいます。
差別化を図り、競争優位を獲得するためには、論理思考という「客観的な外部のモノサシ」のみに頼ることなく、自らの立ち位置をしっかりと見定めた上で、「主観的な内部のモノサシ」に従って意思決定することが必要になるというわけです。

著書のタイトルでもある、世界のエリートが「アート(美意識)」を鍛えるのは、「より高品質な意思決定」を行うために、「主観的なモノサシ」を身につけるためということです。
通常「アート(美意識)」というと、プロダクトデザインや広告宣伝などクリエイティブの領域が想起されがちですが、ここでは一般通念より拡大し、経営や事業戦略における「懐の深い概念」として認識することができます。
この「サイエンスとアートの統合思考」は、サステナビリティ時代の企業ブランディングにも相通ずるものがあります。

サステナビリティとブランドアイデンティティ(らしさ)の統合思考

現代において企業ブランディングを実現するためには、サステナビリティが戦略の芯や背骨となります。
このサステナビリティ要素を精緻に充足させる活動は第一義です。
ところが、その取り組みをサイエンスの側面から極力定量化し、アカウンタビリティを果たそうとすることはもちろん重要ですが、言語化できることはコピー(マネ)され、コモディティ化します。
そこで競争優位の決め手となるのが、ブランドの美意識である「ブランドアイデンティティ(らしさ)」です。ブランドの持つ本質的な強みは、ブランドに付随するストーリーと世界観です。
これこそが、模倣困難な差別化の切り札です。

ブランド力の本質は、客観的に知覚され得る「実体的な価値」と「イメージによる価値」を併せた統合価値としての訴求力です。とかく、ブランドはイメージ本位で語られることがありますが、実体なくして、ブランドイメージはあり得ません。イメージはあくまで然るべき実体に裏打ちされた力であり、その企業実体を時代に相応しく健全に磨き上げるのが「サステナビリティ要素」です。その上で、自社の魅力度(らしさ)を発揮するのが、サステナビリティ時代の企業ブランディングの黄金律です。

時代が求める企業競争力のデュアル・コアともいえる「サステナビリティ」と「ブランディング」を高次に融合させることで、レバレッジ効果を生み出し、自社ならではの競争優位性が創出できます。これが「サステナブル・ブランディング」の基本構造です。

サステナビリティにまつわる動きが社会やビジネス界で格段と注目され、定着・加速していくにつれ、企業は時代の要請に乗り遅れることによる「リスクの回避」と、時代と調和して「ビジネス機会の創出」を図りたいという両側面からの「社会対応力」が求められています。
結果として、こうした企業姿勢が「社会的評価(レピュテーション:Reputation)」を高め、自社ならではの輝きある取り組みにより「ブランドイメージ」の向上につながっていきます。企業実体の見える化、「らしさ」の魅せる化がサステナビリティ時代の企業ブランディングの要諦です。
この「サステナビリティとブランディングの統合思考(integrated thinking)」ともいえるスキルは、サステナブル・ブランディングの原理原則(principle)です。

☆次回は、ビジネスとサステナビリティを融合させ、『らしさ』で競争優位を創り出す「サステナブル・ブランディングの戦略フレーム」をわかりやすく解説します。

【細田悦弘 プロフィール】

中央大学大学院 戦略経営研究科フェロー、一般社団法人日本能率協会 主任講師
企業や大学での講演・研修講師・コンサル・アドバイザーとしても活躍中。
CSR・ブランディング・コミュニケーション分野において豊富な経験を持ち、 理論や実践手法のわかりやすい解説・指導法に定評がある。
※本文著作権は細田悦弘氏に所属します。

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