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ブランディングとは企業戦略。5つのメリットを紹介

ブランディング

昨今ブランディングに求められるものが短期的な目標から長期的な目標に変わってきています。今までのブランディングは主に商品ブランディングのことを指し、その施策は広告担当マネージャーや広告代理店にゆだねられてきました。理由としては短期売り上げを目標とした戦術的な評価が求められてきたからです。短期売り上げを目標にしているので当然、ブランドごとのブランド構築を目指します。

しかし昨今では企業ブランディングが注目されており、ブランディング施策が企業戦略に進化を遂げています。ブランディングは戦略的にビジョンを描く仕事です。企業ビジョンに基づき、事業戦略のみならず、組織の文化、価値観を作り、浸透させる施策のことを企業ブランディングと言います。

企業ブランディング戦略の5つのメリット

1.企業名の認知度向上

生活者は自分が知らない・聞いたことがないものを欲しがることは当然できません。ブランドの知名度が上がり、知っている人が増えることで初めて販売数も伸びていきます。 また有名な商品と無名な商品では、生活者に与える安心感に差が出ます。この安心感という点は企業名も大きく関わります。同等の機能・価格の商品が複数ある場合、「企業名」がものを言います。 物と情報が溢れかえっている現代、大抵の商品・サービスはBtoC、BtoBに関わらず競合商品が存在します。そして生活者は購入前に商品の比較をほぼ必ず行います。この比較の際にものを言うのが企業名(企業ブランディング)です。 生活者は商品に「安心」を求めます。安心とは機能・性能の話だけではなく「信用・信頼」のことです。「この会社が出している商品なら間違いないだろう」「この会社のイメージは好きだからこちらにしよう」……このような場面はご自身の経験から思い当たるところがあるのではないでしょうか。

2.価格プレミアムの効果

物やサービスが溢れかえる現代、価格競争は必ず起きます。価格競争は底なし沼のようなもので、新規参入のブランドが増えれば増えるほど、どんどん価格は下がっていきます。最近ではより安価な海外のブランド参入もECサイトの活況により劇的に進行しています。生活者の多くが普段利用している大手ECサイトAmazonには海外製の安価商品がずらりと並んでいます。そのような価格競争に巻き込まれず「指名買い」をしてもらえる状況になれば利益率を高く維持することができるでしょう。指名買いをしてもらうには、1.で前述した通り、企業ブランディングで生活者の「信用・信頼」を醸成し、商品比較をせずに購入してもらえる状況をつくる事が重要なポイントになります。

3.リピート率の向上

リピート率はビジネスにとって一番重要なポイントになるでしょう。パレートの法則、2:8の法則と呼ばれるマーケティング用語があります。これは2割の優良顧客が8割の売り上げを上げているという法則のことです。売り上げの8割ですからリピート率の向上がどれだけ大切な事かわかると思います。リピートをしてくれている既存顧客はあなたの企業のファンである事は間違いないでしょう。このような優良顧客を増やしていくこと事こそが会社の発展に繋がります。あなたの会社を信用・信頼し、企業文化を理解し、リピートして頂ける顧客を増やすために、企業ブランディングは不可欠なのです。

4.新規ビジネスの創出 企業ブランディングを確立すると新規ビジネスの創出もしやすくなります。企業ブランディングを成功させるためには社会性のあるビジョン・ミッションの“見える化”が必要不可欠です。企業がどのように社会の一員として世の中に貢献し、将来どのような姿を目指しサスティナビリティを実現しようと考えているのか。企業の思想・キャラクターを前面に出すことで、そのビジョン・ミッションに沿った形で新規ビジネスの創出ができるようになります。ビジョンに賛同いただけている優良顧客は新規ビジネスにも興味を持ってくれるでしょう。

5.社員の士気向上 社員の士気は社員が誇りを持つことから生まれます。「自社の商品・サービスは世の中の役に立っている」「自社のビジョンは将来も世の中に貢献し続けられる素晴らしいものだ」といったように、社員の感情に訴えられる素晴らしいビジョン・ミッションが構築できれば、比例して売り上げにも表れるでしょう。お客様と日々接しているのは他ならぬ社員です。企業ブランディングは社員が作っているといっても過言ではありません。皆が誇りを持てる企業価値を構築しましょう。

企業ブランディングに必須の企業アイデンティティとは

企業アイデンティティとは生活者に企業のビジョン・ミッションを理解してもらうための企業のキャラクター (何者であるか)の構築です。企業のアイデンティティをより良く理解してもらい、好意を頂いてもらえるよう社会性のあるビジョン・ミッションを構築し、発信することが企業ブランディングを成功へと導くでしょう。

企業名を聞いてもなんの印象もない。名前は知っているけど何の会社、あーあのブランドってこの会社だったの? といった社名とブランド名の乖離、このような状態は企業アイデンティを全く感じてもらえていないか、興味を持つ段階に達していないことになります。

企業アイデンティティとCSV共通価値の創造

マイケル・E・ポーター教授が提唱された「CSV」(Creating Shared Value [共通価値の創造])という言葉があります。CSVは企業が本業を通じて社会問題を解決し、経済的利益を生み出すことを言います。まさに企業アイデンティティを構築するにはうってつけの考え方です。社会問題は人類共通の課題です。企業として社会問題に取り組むことで、生活者との共通価値の創造ができるようになり、企業名を聞いて何の印象もないといった状態からは抜け出して、興味を頂いてもらえるようになります。

企業アイデンティティとSDGs

前述したCSVと似ていますが、国連が提唱したSDGsに乗っ取って企業ブランディングをしていく企業も増えています。世界共通の17の目標と169のターゲットを自社のコアコンピタンスと照らし合わせ社会課題を解決していくことにより、生活者との共通価値を創造することができるようになります。世界的に解決しなくてはならない必須の社会課題を国連が提唱してくれています。この17の目標を解決できれば、企業アイデンティティの構築に大きな効果を与えてくれることでしょう。自社の既存の事業、ビジョンと照らし合わせて解決できる課題を見つければ良いのです。無理に新規事業を立ち上げることはありません。

企業ブランディングを構築し御社のファンを増やしていきましょう。時間と労力のかかる作業ですが、その効果は絶大です。認知度向上、価格プレミアムの効果、リピート率向上、新規ビジネスの構築ができ、社員の士気が向上します。生活者との共通価値を創造することにより企業も活性化し、人生も活性化することでしょう。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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