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日本におけるSDGsの歴史的転換点!GPIFのPRI署名とは。

SDGs

SDGsの認知が急速に拡大しています。
それはメディアが拡散しているからだけではなく、計画し行動する主体である「企業」の認知が拡大していることがベースになっています。

SDGsの認知拡大がブームやキャンペーンに終わらず拡大し続けているのには、大きな理由が存在します。その発端はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によるPRI(責任投資原則)署名と言う事件に始まります。

2015年、GPIFはPRIに署名しました。その際にこのように発言をしたのです。
「GPIFでは、PRIへの署名とSDGsをリンクさせ、ESG重視が良質な投資機会の増加につながるとともに、事業会社がSDGsを事業機会の増加にもリスク回避にも使って競争優位につなげることを推奨する。」

ここで初めて企業は「SDGsとはなにか」「企業はいったいどうすればいいのか」という課題に直面したのです。
なぜならGPIFは運用資産額約160兆円という世界最大の機関投資家であり、企業に投資する最大のパトロンであるからです。
そしてPRIとは、国連が2005年に公表したもので、いうなれば機関投資家等がESG銘柄を基準に投資ポートフォリオを構成すると宣言した署名です。

注目すべき点は、GPIFは世界最大であっても機関投資家の一部にすぎません。
ところが世界中の機関投資家によるPRIへの署名ラッシュが始まり、2020年現在の署名機関数は3018機関、その総資産額は103.4兆ドルに達します。
GPIFがおよそ70個分と言ったところでしょうか。(2020年3月 PRI発表)

しかし企業経営層がSDGsに課題感を持ち始めた転換点がこの事件であったとしても、そしてその後の機関投資家たちによるPRI署名ラッシュが起こったとしても、競合他社の全てがこの課題を無視していれば何も起こらなかったはずです。
しかし御覧の通り、今やテレビや新聞までが爆発的にSDGsについて語り始めています。そして競合他社もSDGs重視の企業が続々登場しました。
そのため企業経営において無視できない存在になってしまったのです。

ところでGPIFはESG統合型のESG投資を行っており、GPIFに採用されている「4つのESG投資指数」は具体的に以下の通りです。

・「FTSE Blossom Japan Index」
・「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」
・「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」
・「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」

上記のGPIFの判断基準や、世界的にポピュラーな評価基準「FTSE4Good Index Series」などがあるため、企業は【FTSE】や【MSCI】などの評価機関への対策を中心に行っているのが現状です。

しかしSDGsの認知と理解がますます拡大すれば、評価機関への対応だけではきっと不十分となるでしょう。
また「インパクト投資」や「サステナビリティ・テーマ投資」など、企業の商品やサービスに着目したタイプの投資も存在しており、評価機関の発表するインデックスだけがSDGs対策であるとは言えないようです。

むしろGPIFが言うように「事業会社がSDGsを事業機会の増加にもリスク回避にも使って競争優位につなげることを推奨する。」を本質的に実現する事こそが、競合他社に対する優位性を獲得することにつながるでしょう。
SDGsを計画し実行し、そのことで競合他社との差別化を図るプロモーションを行えば、GPIFの言う競争優位な会社になることができるのではないでしょうか。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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