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優れた差別化戦略でブランディングに成功している7つの事例

ブランディング

優れたブランド戦略は、競合他社との違いを明確にすることを中心に展開する。
ブランドの独自性を継続的に顧客にプッシュする必要があり、そこで有効な手段の一つになるのが独自の価値を絡めたブランディングになる。

ブルーオーシャン戦略キャンバスは、競合他社が提供できなかった属性で競合することをアドバイスする。
高成長企業は常に、サービスが行き届いていないニッチ市場に最初に対応することで市場に参入する。

例えばNetflixは、ブロックバスターでは手に入らないカルトクラシックフィルムを郵送することから始めている。
VimeoはYouTubeとは異なり、プロのビデオグラファーに焦点を当てる。テスラはローエンドハイブリッド車との競合を避け、高級志向の車の製造で勝負する。

このようなの差別化戦略は、スタートアップだけでなく老舗の企業にとっても不可欠となる。
そんな差別化戦略のブランディングに成功している7つの事例を紹介したい。

1)SIMPLE VS. バンク・オブ・アメリカ

従来の銀行には多くの支店があり、使いやすいモバイルアプリの開発に時間がかかっている。
Simpleにはまだ支店がないが、優れたモバイルアプリの開発に焦点を絞っていた。従来の顧客は、住宅ローン、譲渡性預金(CD)、銀行窓口などのサービスを高く評価してきた。
Simpleはテクノロジーに詳しい若い顧客に焦点を当て、間違いなく最初の21世紀型の銀行を設立したのだ。

2)プリウス VS. テスラ

テスラは、高級スポーツモデルで電気自動車(EV)市場に参入した。
現時点では、電気自動車市場はデザイン性や機能性よりも経済性を重視している。
テスラはシボレーボルトやトヨタのハイブリッド車と競合せず、代わりにハイエンド市場を狙う。

3)デルタ VS. ジェットブルー

Deltaのような航空会社がピーナッツの提供を停止しレッグルームを減らす中、Jetblueはグルメスナックと広いレッグルームを売り込んで市場に参入した。
国際線や高頻繁で大規模な広告プログラムはまだないが、フレンドリーなサービスとスナック、レッグルームに焦点を当てる。
Jetblueのブランディングは、ホスピタリティと飛行機の楽しさを伝えることで、ビジネス向けにフォーカスするデルタのような大手航空会社との差別化を図る。

4)チポトレ VS. タコベル

何年もの間、タコベルはメキシコ料理のファストフードで最大の市場シェアを保持していた。
そんな市場に価格ではなく、質を武器に参入したのがチポトレだ。
チポトレは、ソーダカップに巧妙なジョークを書いたり、都会的な雰囲気を演出したりするなどといった差別化で優れたブランディングを展開する。

5)ジレット VS. DOLLAR SHAVE CLUB

ジレットは、プロ向けの最も有名な男性用剃刀ブランドとして地位を確立している。
そんなジレットに、DOLLAR SHAVE CLUBが価格で勝負に挑んでいる。
その名前が低コストをうたうだけでなく、品質でも妥協しない姿勢を示す。
ジレットのプロフェッショナルな広告と相反するユーモアを前面に押し出すメッセージで、差別化を図る。

6)トレーダー・ジョーズ VS. ホールフーズ

どちらのブランドも高級食材を求める消費者向けのブランドだが、根底には異なるポジショニングがある。
トレーダー・ジョーズの店舗は小規模なため、ホールフーズと違い棚に並べる商品を厳選する必要がある。
その結果、タマルの隣にチヂミが置かれるなど、健康志向と同時に宝探しのような楽しさも演出する。ブランディングもそれを反映し、店内を海洋風テーマで飾り、スタッフはアロハシャツを着て、レジ係が不足する時は大声で叫ぶ。

一方で、より余裕のある雰囲気のあるホールフーズには楽しみの要素は少ない。
洗練された陳列は、健康志向を全面に押す。
グリーンのブランドカラーはオーガニックを感じさせ、レッドのトレーダー・ジョーズとの違いは明らかだ。

7)Lyft VS. Uber

どちらも配車アプリを運営し、ほぼ同じサービスを提供するがブランドポジショニングは全く異なる。
市場を開拓したUberは当初、エグゼクティブブラックのリンカーン・タウンカー専用の配車サービスを提供していた。
漆黒のブランドカラーと滑らかなロゴから名残りが見える。
その後、UberxやUberpoolといった低価格サービスの登場で、プリウスといった車種で誰もが気軽に利用できるようになった。

一方のLyftは、車両のフロント部分にピンク色の毛むくじゃらの口ひげを取り付け、乗客は前座席に座り会話を楽しみ、チップを推奨するといった特徴がある。
先行するUberと全く異なるブランディングと文化を選ぶことで、「冷たい」「不愛想」とメディアから評されるUberとの差別化に成功している。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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