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素材戦略に持続可能な開発目標(SDGs)を取り入れたGap

SDGs

私たちが素材を生産、(再)利用、廃棄、リサイクルする行為は、すべての持続可能な開発目標(SDGs)に影響する。

SDGsは2015年9月の国連総会で採決された、2030アジェンダ実現のための17のグローバル目標だ。
SDGsのすべての目標は、先進国と発展途上国どちらにも通用するようデザインされており、人中心でありながら地球に優しい全体的アプローチで、測定可能性を重視する。
さらに169のターゲットを設定し、貧困撲滅、地球保護、すべての人の繁栄を目的とする。

アパレル産業にとって、SDGの目標12「 つくる責任、つかう責任」が入り口になる。
そしてコットンやウール、ウッドといった天然素材の持続可能な生産は、目標2の「飢餓をゼロに」、目標15の「陸の豊かさも守ろう」に、再生可能なエネルギーや、ファイバープロセスにおけるよりクリーンなテクノロジーへの転換は、目標14の「海の豊かさを守ろう」、目標9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標13の「気候変動に具体的な対策を」につながる。さらにゼロ廃棄、長寿命素材の開発、農地の再生などが炭素排出削減に貢献し、気候変動対策の大きな柱になる。
アパレル産業は生産者と消費者として、SDGsを取り入れ大きな方向転換の機会に活かすべきだ。

SDGsは既に、各国の政府、NGO、企業に広く取り入れられており、企業が果たす役割は政府より大きい場合もある。
ビジネスや持続性戦略にSDGsを活用する、もしくはSDGsに基づきビジネスモデルを変革できる企業が、今後のブロー張るビジネスのリーダーになり得る。
ビジネスがSDGsの長期的な成功を約束するだけでなく、SDGsがビジネスの変革をサポートするのだ。

例えばGapは、SDGsが発表されるとすぐに自社の持続可能性フレームワークに取り入れた。
SDGsを考慮しすべての素材を見直すと、教育の質改善、男女平等、クリーンな水と衛生環境、安定した仕事、経済成長、生産と消費の責任、気候変動対策に関する6つの目標に通じると理解した。
Gapが正式にそれら6つの目標を持続可能性戦略に取り入れたのが2016年。
2018年までにGap、Banana Republic、Old Navy、Athletaの4つのブランドが持続可能性実践委員会を立ち上げ、優先順位を決めチームの枠を超えたワークショップを開催した。

Gapの製品持続可能性マネージャーDiana Rosenberg氏は、「企業内の壁を取っ払いパートナーと密接に協力し、自分たちの働きがSDGsにどのように影響しているのかを理解する必要がある。そして何より、常に前進することや企業全体で決めた目標の進捗状況を把握することが重要で、それができて信頼感を高めることができる」と同社の活動方針を語った。

SDGsをビジネス戦略に取り入れ、成功している企業の活動には共通点がある。
企業の成長を促すようなSDGs活動の積み重ねが、ビジネスの成功だけでなく持続可能な社会の実現を約束する。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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