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IKEAがDIYコンセプトを取り入れたレストランをオープン

ブランディング

2016年9月10日、DIY家具大手のIKEAがロンドンのShoreditchに、13日間限定でポップアップレストランを開設した。キャッチコピーは“自分で作り自分で食べる”だ。

スウェーデンのDIY家具販売最大手のIKEAは、顧客自ら家具を組み立てることでコストを抑え、生活にシンプルなソリューションを提供している。そのIKEAが、同じセオリーを適用させたDIYレストランをオープンし、新たなキャンペーンを展開した。

IKEAがレストランをオープン

店舗内のレストランは、IKEAのキッチン製品を販売したり、客がウィンドウショッピングを楽しんだりできるショールームになっている。
当初ポップアップレストランのコンセプトは、IKEAの考えとは異なるのではとの迷いもあったが、始まるとすぐにショッピング体験の一環として自然に馴染んだようだ。そのことは、IKEAのペルソナを維持しながら新しいことにチャレンジすることで、ブランドの強みを見せつけることになった。

プロが料理をサポート

当然レストランには、衛生や健康、安全性の問題が生じるため、完全に一人で料理体験ができるわけではない。
メニューにおいて、料理責任者の指導のもと料理をすることになる。例えば、スカンジナビア料理のコースを学びながら作れる。
また、Instagramの有名シェフによるフードマスタークラスの体験や、スウェーデンベーキング、未来のフード、クリーンイーティングなどのプログラムが用意された。

キャンペーンの根拠

IKEAがキャンペーンに込めたストーリーは、料理を作ったり友人たちと食卓を囲んだりする機会の少ない英国人に触発されたものだった。
IKEAが提供したかったのは、人々が集い楽しむ機会だった。「パーティーの真似事かもしれないが、普通のパーティーよりもっと多くの人が集まるチャンスになる」とIKEAは説明する。

販売のためのツール

IKEAにとってこのキャンペーンは、ブランドの浸透とともに、英国人のマインドにポジティブなインパクトを与えるものになった。
食事に関する問題に気づくと同時に、ソリューションまで手にできる。ブランドの評価が高まるばかりか、IKEAのキッチン製品などの販売にもつながる。家具だけでなく、食事を通じてIKEAが人々の心に残るようになるだろう。

すべてをチャンスに捉えることで、何でも可能になる

IKEAが英国人に知らせたかったのは、充実した時間を発見する意識を持つことのの重要性だ。
また、ブランドに寄り添い、どのように成長するチャンスを与えるのかも実例をもって示してくれた。ポップアップレストランは、その2つのゴールを達成するベストな方法であり、さらにブランドメッセージの強化にも寄与した。
IKEAはこのプロジェクトの有効性をフィードバックから得ることができ、他店舗への展開や恒久的な開設への判断を下すことになるだろう。
確かなのは、参加者はレストランの話題で持ち切りで、食べたい料理を自分で作ることで、自宅でも友人たちに料理を振る舞う機会が増え、IKEAブランドの拡散の一助になったことだ。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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