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企業がCSVビジネスモデルに転換する方法

SDGs

CSV(共有価値の創造)は、社会における企業の役割を進化させるコンセプトです。
もしインド企業が社会や環境問題をビジネスと関係するものと捉え、そこからチャンスの可能性を見出すことができれば、ビジネスとして利益を生み出すだけでなく、社会をより住みやすい場所に変える大きな助けになるでしょう。

まさに理想的な話だが、ハーバード大学のシニア研究員Mark Kramer氏は、このアプローチがインドの成長と進化をもたらすものとみています。2011年のハーバードレビューの記事で定義付けされたCSVのコンセプトは、Michael E PorterとMark R Kramer両教授が企業に成功するビジネスと同時に、社会を改善するためのシナジーやオーバーラップする箇所をみつけるようアドバイスしたものでした。 論理的には正しく聞こえるが、実行に移すためにはどうすべきでしょうか。

CSVとは?

CSVとは、社会とビジネス間にある高く有害な壁を乗り越えることを目的としたアイデアです。
ビジネスはシェアホルダーのためだけでなく、社会のために価値を創造する必要があります。CSVは社会問題を戦略とオペレーションのコアに据えることで、長期的なビジネスの成功を約束するものです。 究極的には、人とビジネスの関係を再構築するコンセプトで、マネージメントの考え方を一変させる、大きな転換ポイントとなるでしょう。

なぜビジネスと社会は切り離されるのか?

ビジネスの大部分は、会社の価値と繁栄を創造するようにデザインされています。会社は利益と成長を最優先にするが、そのため非常に狭い価値創造モデルに囚われていまいがちです。結果、社会的ニーズは満たされないまま残り、ビジネスと社会にとって長期的な価値と成功につながる成長とイノベーションは、完全に消えてしまいます。

状況を改善しようと試みる企業も現れています。その中心的コンセプトはCSR(企業の社会的責任)ですが、企業の評価を高めるためのコンプライアンスや規則、慈善活動を重視し過ぎるとの指摘もあります。
そこには共有価値を創造し、経済と社会を改善しようという純粋な願望は強くないのが現状です。

CSVとは?資本主義の次の進化コンセプト

CSVとは、社会のニーズや困難に立ち向かうことで社会だけでなく、経済へも価値を創出するという考え方だ
CSVの下、会社のポリシーや活動が競争優位性と利益を生むと同時に、会社が関係するコミュニティの社会的、経済的なコンディションを改善
CSVはCSRや慈善活動、サステナビリティとは異なり、社会的問題の解決と同時に経済的成功を実現する新しい方法

Porter氏は、これまでのモデルでのビジネスと社会のつながりは、非効率だったと言われています。
慈善事業やチャリティは、社会を助けるモデルとしては古く、寄付や時間の提供だけではスケーラブルな支援に限界があるようです。

私たちは何かを解決してきたか?

過去数十年間、CSR(企業の社会的責任)は大きな経済や政府、環境スキャンダルが生じた後の対処に必要な慈善活動にフォーカスしてきました。
「CSRはお金を与えるだけではなく、その先に進みたがっている。私たちは社会への関わり方を、変える必要があるのだ」とPorter氏はいいます。
同氏はビジネスが抱くCSRの信条として、サステナビリティにこだわっています。
「私たちは今日の活動の結果を考えなければならない。短期的な経済の成功を追い求めた結果、社会に有害にならないよう、長期的なサステナビリティの視点を持つべきだ」とサステナビリティの意義を説明しています。

既存の製品やマーケットの可能性をどのように見直すか?

社会問題や環境問題に対処する製品を開発し、新しい市場に参入することがCSVの基本コンセプトです。また、製品開発と市場開拓が同時に実現されたとき、共有価値が生まれやすくなるでしょう。

例えば、複数のロケーションに店舗を展開する薬局があり、あるロケーションでは食料品店が不足しているとします。
もともとその薬局は食品を扱うつもりはなかったが、需要や食品へのニーズがあることを認識しています。しかも、食料品店にリーチできないということは、コンシューマーが健康食品にアクセスする手段はほぼないといえます。 栄養不足はその地域の社会問題に発展する可能性があるのです。
CSVのコンセプトを適用すると、薬局が栄養の高い食品を販売することで、ビジネスとして成立すると共に、社会の改善に貢献できる。また、新たな市場も広がり、ビジネスの幅も広がるはずです。

このようなケース以外にも、CSVの事例をシンプル化して紹介します。
特にインドなどの発展途上国の低所得者は、新しいマーケットとしての可能性を秘めるといいます。
栄養価の高い食品や低脂肪、糖分の低い健康食品も、健康問題が社会問題になりつつある地域には、新マーケットとして成長が見込めます。
また、バリューチェーンの省エネ化は環境問題の解決と共に、ビジネスチャンスがあるでしょう。

これからは、地域コミュニティや社会問題を悪化させる一方で利益を生むビジネスモデルは衰退すると予測されています。
CSVのコンセプトのもと、ビジネス形態の変化が求められている時代が本格的に訪れようとしているのです。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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