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CSRは忘れCSVにフォーカスすべき理由

SDGs

世界的な不景気なときは、企業は利益を確保しながらカスタマー戦略の見直しを迫られる。コンシューマーは高級品の購入を手控え、小売業者はCSR(企業の社会的責任)への出費を正当化するのが難しくなる。そのことから、CSRという意識の高い行為が、財務上の痛手となり、企業のバランスシートに良い影響を与えないことを証明している。

そんな中、受動的に経済の回復を待つのではなく、CSRとは違うアプローチに取り組む企業が出始めている。それがCSRより広範で長期的な成果が期待できる、CSV(共有価値の創造)への取り組みだ。

CSRとCSVの違いとは?

CSVとは企業と周辺コミュニティの経済を好循環させるコンセプトだ。つまり安い労働力や緩い規制、低い税金に釣られてロケーションを次々と変え、コミュニティや環境を破壊している短期的利益を追求する企業とは対極的なコンセプトとなる。

CSVは広範な社会の繁栄に貢献することで、経済的な価値を生むことを目的とし、企業のイメージアップのためだけの慈善事業とは一線を画す。CSRで問題にされるのが、企業の利益の使い方だ。CSRのモチベーションは、そもそも利益の確保とは別のところにあるためだ。

CSVの取り組みの3つのルート

2011年にハーバードビジネスレビューに掲載された、Michael Porter氏とMark Kramer氏による記事では、CSVの取り組みとして次の3つのルートを提唱した。それが、製品とマーケットの再認識、バリューチェーンにおける生産性の見直し、ローカルビジネスクラスターの創造だ。

製品とマーケットの再認識では、カスタマーベースで製品について、いくつかの疑問に答える必要がある。例えば、製品はカスタマーのニーズに応えているのかや、製品を購入していないカスタマーグループにどのようにアピールすべきかなど。本当に必要としているカスタマーに、最適な製品を届けることがCSVの基本となる。だが、多くのビジネスにとって、社会的問題や環境問題は外部要因として、真剣に価値を考えてこなかった歴史がある。だがそのことで、バリューチェーンに深刻なコストが生じている。安い労働力を理由にロケーションが遠くなり、ロジスティクスコストがかさむためだ。製造、生産、運搬、消費の距離を短くするなどの努力が求めらえている。

会社は単独では存在できない。商業的な成功は、サプライヤーや周辺コミュニティのインフラに影響される。CSVのコンセプトに基づき、ローカルビジネスクラスターへ投資することで、コミュニティの健全化を促進し、長期的な成功を目指すことが、これからの企業に求められている。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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