TikTokユーザー層の多様化 リーチの質を上げる世代別ブランディング戦略

近年、TikTokのユーザー層は爆発的に拡大しており、日本国内の月間アクティブユーザーは4200万人規模に達しています。中には情報収集や購買検討の手段として活用するユーザーも増加傾向にあり、TikTokの役割は単なるエンタメアプリから「情報検索・学習ツール」に変化しています。こうした状況を受けてユーザーの価値観やニーズも多様化が進み、一律のアプローチでは十分な成果を出しにくい状況となっています。
このような背景から重要になるのが「世代別ブランディング」という考え方です。TikTokにおける成果は「どれだけ多くの人に届いたか」ではなく、「誰に・どのように届いたか」によって、大きく左右される時代に入っているのです。本記事では、TikTokのリーチの質を上げる世代別ブランディングについて解説します。
TikTokユーザー年代の変化 ユーザー層の属性は若者から全世代へ
TikTokは世界中で急速にユーザー基盤を拡大させており、日本国内でも主要な情報プラットフォームのひとつとなっています。
ユーザー数の拡大に伴い、TikTokでは年齢・地域・利用目的といったさまざまな面で変化が加速しています。こうした利用実態の変化に合わせ、「TikTokは若者向けSNS」という従来の認識をアップデートすべき時期といえるでしょう。その変化を見ていきましょう。
国内のユーザー数
ある企業が1万人の男女を対象として2025年に実施した調査によると、TikTok利用者の中心は従来どおり10代〜20代でありながらも、50代〜60代が利用者の約30%を占めており、平均年齢は39.2歳にまで上昇したことがわかりました。また、TikTok公式発表によると日本国内の月間アクティブユーザーは4200万人を突破したそう。
つまり現在、TikTokは30代以上の、いわゆるミドル層による利用が一般化し、「全年代型のメディア」へと進化しているといえるでしょう。こうした変化は企業や個人が発信するコンテンツ戦略にも大きな影響を与えるといわざるを得ません。
ユーザー属性
TikTokは都市部に限らず地方での利用も拡大しており、全国規模で情報が流通するプラットフォームとしての役割を強めています。
誰でも簡単に視聴・発信ができるスマートフォンの特性により、地域差なくコンテンツが届けられる環境が整ったことで、より多様なバックグラウンドを持つユーザーが集う場となっているのです。
アプリの役割
注目すべきはTikTokの利用目的に見られる変化です。これまでは娯楽目的の利用が中心でしたが、現在では情報収集や学習に活用するユーザーが増えています。
2025年6月に発行された「TikTok Socio-Economic Impact Report(日本における経済的・社会的影響)」によると、週に1回以上TikTokを利用するユーザーの77.5%が「知らなかった情報を教えてくれる」と回答しており、新たな知識や発見を得るための場としてTikTokを利用していることがわかります。
このように、TikTokは「楽しむためのアプリ」から「役立つ情報に出会う場」へと進化しており、ユーザーの視聴行動やコンテンツの評価基準にも変化をもたらしているといえるでしょう。
Z世代に30〜40代、ターゲットを動かす「世代別」ブランディング戦略
ユーザー層の多様化は、TikTokで取るべきアプローチの方法を大きく変えます。
ここではZ世代とミドル層それぞれの特徴を踏まえながら、リーチの質を高める「世代別ブランディング戦略」をみてみましょう。
Z世代(10〜20代)
TikTokを利用しているZ世代に見られる特徴として、「情報」の内容だけではなく「どのように出会うか」という接触体験を重視する点があります。
TikTokはフォロー関係に縛られず、レコメンドによって未知の価値観やトピックに出会える構造になっています。Z世代にとってのTikTokは単なる娯楽を目的としたツールではなく、より有意義な「自分の世界を広げるためのツール」として機能しています。
TikTokダンスに代表される参加型コンテンツは、Z世代が熱中する投稿の例といえます。一方では生活に役立つ知恵を習得するノウハウ系コンテンツなども多く閲覧されています。どちらも、受動的に眺めるのではなく、常に「新しい発見」や「共感のきっかけ」を求めているという特徴があります。
つまり、「何を伝えるか」以上に、「いかにして興味関心に遭遇させ、心を動かすか」という体験設計が重要なのです。
関連記事⇒「TikTokのおすすめにのる仕組みとは アルゴリズムを理解して認知拡大を引き寄せる」
ミドル層(30〜40代)
仕事や家庭で忙しいこの層には「ポイントを絞って学習できる」「すぐに役立つ」「時短につながる」といった、実用性の高いコンテンツが評価されます。ミドル層におけるTikTok利用では限られた時間で効率よく情報を得るための「学習・検索ツール」として機能しているため、単なるエンタメではなく視聴後に自分の生活がどう変わるかという「実益」が明確なコンテンツほど保存・共有といった反応につながります。
したがって、ミドル層に向けた発信では「わかりやすさ」と「信頼性」、そして「有用性」を軸にした設計が不可欠で、ユーザーの生活の中で「タイパの良さ」につなげることができるかが重要です。
関連記事⇒「インスタの「保存された数」の見方と運用術 いいねよりも保存率を上げたブランディングで認知拡大へ」
世代を超えて不可欠な「信頼の受け皿」
Z世代・ミドル層のいずれにおいても、最終的にリーチの質を左右するのは「この発信者は信頼に値するか」という、ユーザーの直感的な判断です。「この人の情報は継続して受け取る価値がある」と瞬時に判断させるためにも、プロフィールやアカウントに一貫した設計が必要です。
つまり、世代別に最適化されたコンテンツ設計と、それを支えるアカウント設計が揃ったときに、初めてユーザーが継続的に接触する可能性が生まれ、「量ではなく質で勝つリーチ戦略」が実現されるのです。
関連記事⇒「ブランド戦略を事例で確認 価格競争から脱却! 安売りしないための差別化」
TikTokのビジネス活用と経済的価値|TikTokライブの条件と質の高い接触
今や、TikTokは認知を獲得するだけでなく購買や採用など、ビジネスの成果に直結するプラットフォームとして定着しています。実際のデータをもとにTikTokの経済的価値を整理しつつ、ライブ配信を含めた「質の高い接触」を生み出す活用方法について解説します。
購買行動に直結するプラットフォーム
TikTokの公式レポートによれば、ユーザーの約34%がTikTokをきっかけに何かを購買していることが明らかになっています。
これは「認知→興味→購買」という、従来ではプラットフォームごとに分断されていたプロセスが、TikTok上ではシームレスに完結することを意味しています。動画を通じて自然な形で商品やサービスに触れ、そのまま購入へと至る導線が確立されているのです。
TikTokは「リーチを取るための手段」というだけでなく、「売上に貢献するメディア」としての経済効果と市場価値を備えた媒体になったといえるでしょう。
ライブ活用
TikTokのビジネス活用で特に重要な施策のひとつが「ライブ配信」です。
TikTokのライブ機能は年齢の規定やフォロワー数などの条件を満たすと利用可能となります。リアルタイムでユーザーと直接的なコミュニケーションを取ることができるので、ユーザーとの距離が一気に縮まるでしょう。コメントを通じた双方向のやり取りの結果、単なる視聴とは異なる「体験」としての接触が生まれ、信頼関係の構築や購買意思決定の後押しにつながります。
つまり、ライブ配信は「広く浅く届けるリーチ」ではなく、深く濃い接触を生み出す手段として機能するのです。
採用活動への影響も
TikTokの影響は購買だけにとどまらず、企業活動全体にも波及しています。「TikTok Socio-Economic Impact Report」によると、「TikTokの活用が採用活動に影響した」と回答した中小企業は48.5%にのぼり、33%が「新卒採用の応募が増加した」と答えています。
これは従来の求人媒体で伝えきれていなかった「リアルな雰囲気」や「価値観」が、企業の魅力やカルチャーも含めて動画で可視化できるようになったからでしょう。求職者とのミスマッチが減少すれば、離職を防ぐことにもつながります。
関連記事⇒「人手不足とブランディング」
関連記事⇒「人的資本に磨きをかける!従業員エンゲージメント 細田悦弘の企業ブランディング 〈第24回〉」
TikTokは購買・採用・コミュニケーションなど、あらゆるビジネスの領域に影響を与えています。重要なのは多くの人に届く「リーチの量」ではありません。ユーザーとどれだけ深く関係性を築けるか=「接触の質」にこそ本質があるといえます。
これらのことから、RHCでは、この「質の高い接触」の設計を重視しています。単なるバズとは違う信頼・共感・行動へとつながるコミュニケーションをいかにして生み出すかがTikTokの経済的価値を最大化すると考えています。
場当たり的にコンテンツを発信するのではなく、誰にどのような価値を届けるのかという「ブランドアイデンティティ」に基づいた設計が不可欠です。
関連記事⇒「ブランドアイデンティティとは?構成要素や作り方まで分かりやすく解説」
まとめ:多様化したターゲットへのブランドメッセージで「リーチの質」を確立
ユーザー層が飛躍的な拡大を遂げるにつれて、TikTokは単なるエンタメアプリから「情報収集・購買・コミュニケーション」を担う役割を帯びています。
その結果、年齢・価値観・利用目的の異なるユーザーが共存する多様な環境が生まれました。こうした変化は、従来のような一律のアプローチで十分な成果を得ることを難しくしています。
だからこそ「誰に・どのような価値を届けるのか」を明確化したブランドメッセージの設計が重要なのです。世代ごとの特性に合わせてコミュニケーションを最適化しながらも、発信の軸となる価値や世界観は一貫したものにする。このバランスこそが成果を大きく左右します。
多様化したユーザーに一貫したブランドメッセージを届けることが、これからのTikTok運用における成功の鍵といえるでしょう。
参考
博報堂 コンテンツファン消費行動調査2025の調査による
https://digiday.jp/platforms/250920_hakuhodo_tiktok/
月間アクティブユーザー数
https://newsroom.tiktok.com/tiktok-mau-4200?lang=ja-JP
2回目の調査レポート「TikTok Socio-Economic Impact Report?日本における経済的・社会的影響?」
https://note.com/api/v2/attachments/download/2d452b4de3ae3a41532b6cf045319461


