ビッグブランドがYouTubeに戻るとき

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AT&TやJohnson & Johnsonなどのビッグブランドが、YouTubeをボイコットした話をここで詳しく繰り返すつもりはない。
ビッグブランドが嫌ったのは、YouTubeのTrueViewインストリーム広告において、Google ディスプレイネットワーク上の有害で攻撃的、侮辱的なサイトやアプリに掲載されることだった。
確かにもしビッグブランドの広告が、オルタナ右翼の“Pepe frogs”など、不愉快だと感じる人もいるビデオなどに登場したとしたら、ショックを受けるだろう。
このニュースはメジャーなメディアで大きく取り上げられ、Google Newsで数えただけでも536の記事が掲載された。
そのため、ここではニュースについてではなく、ビデオマーケティングビジネスの戦略的なインサイトや決定的なデータ、戦術的アドバイスについて紹介したい。

YouTubeから離れる決断をする前に

YouTubeから広告を引き上げる決断は、Verizon、Holden、Kiaなどに広がっているが、本当にスマートな決断だと言えるのだろうか?
YouTubeのTrueViewインストリーム広告は、88カ国で運用されている。そこからの撤退を決断の前には、ビジネスにネガティブなインパクトを与えることにならないか、冷静に判断することが重要になる。

YouTube広告=ブランド認知

2015年、GoogleはYouTubeのトップコンテンツ向け広告商品「グーグル・プリファード」を活用する50のキャンペーンを分析した結果、65%の広告でブランド認知度が高まり、平均17%向上したという。
調査対象の広告は既に有名ブランドだったため、さらなる認知度の向上は強烈なインパクトをもたらした。YouTube広告の効果を考えると、撤退によるブランド認知度に対するネガティブなインパクトは避けることは難しそうだ。

また、GoogleのシニアバイスプレジデントSridhar Ramaswamy氏の、2016年9月に開催されたデジタルマーケティング会議「demexco」での発表も見逃せない。
同氏によると、米国の18〜54才の成人47%が何かを購入する際の決断において、少なくとも1カ月以内に1度はYouTubeビデオが役に立ったと回答したという。単純に計算すると、米国では毎月7000万人が買い物をサポートするためにYouTubeを訪問していることになる。YouTube広告から撤退することで、思わしくないコンテンツへの掲載によるショックを回避できるが、代わりにライバルブランドが大量のオーディエンスとリーチする瞬間を目撃してショックを受けることになるだろう。

YouTube広告のコントロール権をビッグブランドに

YouTubeの歩み寄りによる、ビッグブランドのYouTube回帰を後押しする機運も盛り上がってきた。
GoogleのチーフビジネスオフィサーPhilipp Schindler氏は、ブランドの価値にそぐわないコンテンツへのブランド広告表示について謝罪を表明し、広告ポリシーやツールのレビューを実施すると発表した。
それによれば、どのコンテンツに広告を表示させるかのコントロール権の比重を、ブランド側により高めるという。
これでビッグブランドがYouTube広告に戻る理由は揃ったようにみえる。ビッグブランドがどのような決断をするのか、今後も目が離せない。
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