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CSVはまだ終わってはいない

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2015年末、ロンドンのBritish Libraryにて、白熱した議論が交わされた。議題は、“CSR(企業の社会的責任)は死んだのか?”だった。

中心的発言者は、SustainAbilityの創設者John Elkington氏と、FSG Social Impact AdvisorsのチェアマンMark Kramer氏だ。FSG Social Impact Advisorsは、ハーバードビジネススクールのMichael Porter教授とKramer氏が共同で創設した組織だ。当初のディベートのテーマは、Porter氏の発言“CSRは死んだ。CSV(共有価値の創造)と置き換える必要がある”についてだった。

議論の参加者やオーディエンスとの間に、“CSRは死んでいない”との共有認識が芽生えてからは、U.Ks RSAの代表で司会者のMathew Taylor氏が質問を、“CSVはビジネスアプローチとして十分か?”に変えた。

Porter氏とKramer氏のCSVの定義は、一般ではポジティブに行け入れられている。
だが、Elkington氏などの一部からは、ウィンウィンに限定していることへの批判もあった。さらにAndrew Crane氏などが加わり、企業と社会が利益を得られる簡単すぎる状況認識に対する指摘もあった。
社会と環境どちらのゴールも目指そうとすると、利益が相反するという主要な問題に答えていないというのだ。例えば中国やインドでは、経済の発展のために安いエネルギーが必要だが、安全なエネルギーは高価で、経済に打撃を与える。
このケースは化学薬品の廃棄物処理費用や職場環境の改善におけるジレンマと同様だ。「Porter氏のCSVは、うまくいっている限り問題ないが。我々はそれより先を見越している」と、UnileverのCEOでグローバルサステナビリティのリーダーPaul Polman氏は言う。

ディベートを聞いた後、サステナビリティのエキスパートが75%を占めるオーディエンスは当初中立な立場だったのが、 “CSRは死んでおらず、CSVは社会にアプローチする適切なビジネスではない”との立場に変わった。

では、CSRの役目は終わっておらず、CSVもビジネスのアプローチとしては不十分だとすると、次に何が必要なのか?
その答えが、CSR、CSV、サステナビリティそれぞれの最も強力なエレメントを融合した、TSV(トータルの共有価値)だ。
実はこのコンセプトは、決して新しいものではなく、長く忘れ去られていたものだったという。
2009年、NestleがCSVのオリジナルアイデンティティとして提唱したもので、そのアイデアとは、共有価値はサステナビリティ、コンプライアンススタンダードが満たされない限り、創造できないというものだ。このCSVのオリジナルに回帰すべき時代が、再び訪れているのかしれない。
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