共有価値の創造(CSV)に対する反対意見

CSV

共有価値の創造により世界を変えるための取り組み

Michael PorterとMark Kramer両教授が「共有価値の創造(CSV)」の記事を発表したとき、Thomas Dyllick氏は大きなビジネス概念の前進を感じたという。ビジネスの新たな方向性を示す指針だと確信したのだ。

当時のビジネスの議論は、シェアホルダーとステークホルダーの両立できないポジション間で行き詰まっていた。
そこへCSVは共通の価値観になり得るコンセプトを提示したのだ。
しかし、Andrew Crane氏、Guido Palazzo氏、Laura Spence氏、Dirk Matten氏による「CSVの価値に反対する」の記事に出会ったときも、同じような衝撃を受けたという。この記事が明確にしたCSVの限界と浅さは、CSVがビジネス議論の答えではないことを十分に理解できるものだった。では、どちらの主張が正しいのだろう?

CSVが導き出した答えは、広いコミュニティの協力の元ビジネスは繁栄するというものだった。もし会社を再興させたければ、ビジネスと社会を取り戻す活動の先頭に立つ必要があると主張する。キャピタリストのシステムは、ビジネスの可能性を引き出したり、社会問題を解決したりする妨げとなっていたのだ。

そこでPorterとKramer両教授が共有価値の創造のコンセプトのもと、ビジネスと社会の問題とニーズを明らかにすることで、どちらの成長も両立させる必要性を訴えたのだ。この大胆で新しいアプローチは、ビジネスと社会の強い結びつきを約束したもので、タイムリーなメッセージとして広く受け入れられた。

だがCSVは今、Crane氏らによって社会と経済の間にある緊張の無視や、社会における会社の役割に対する浅い認識が非難されている。
そしてCrane氏らは、固有のジレンマや経済的価値と社会的価値のトレードオフの関係性を提示し、CSVはトレードオフの関係性を見ないことで、ビジネス活動のネガティブなインパクトを無視していると指摘する。
また、個別のプロジェクトがウィンウィンのソリューションにフォーカスすることでCSVは会社がより簡単に勝てるようになり、関係のある深い社会的問題はそのまま残ると説明する。

正直なところ、私たちはCSVの価値について答えの見えない議論の中にいる。ビジネスの議論においては、さまざまなコンセプトが語られるが、私たちは自由にその限界や欠陥について話し合える。そこには解決できない曖昧さは残るが、それぞれにはそれぞれの真実があることも知ってもらいたい。

世界で最も影響力のあるシンカーのひとりとして、Michael Porter教授が最新のビジネスモデルである共有価値の創造(CSV)がビジネスと社会をどのように変えていくのかについてプレゼンテーションを行った。戦略家、競争力向上・イノベーションの専門家として同教授が登場したのは、2016年5月20日にRotterdam School of Management(RSM)のスポンサーで、オランダロッテルダムのVan Nelle Fabriekで開催された“世界を変える”セミナーでのことだった。

共有価値の創造とは

Porter氏がディレクターを勤めるハーバードビジネススクールによると、これからのビジネスの考え方は共有価値の原則に沿って移行していくという。共有価値とは、社会問題解決のニーズに対する価値と経済的な価値を両立させるコンセプトだ、つまり、会社の競争力と利益を高める企業ポリシーの実践によるビジネスの販売活動が、社会と経済状況どちらの改善にも寄与する。共有価値とは、企業の社会的責任(CSR)や慈善活動、サステナビリティとは違い、経済的成功を達成するための新しい方法になる。

Porter教授の功績

 RSMの組織理論の教授Pursey Heugens氏が200名以上のプロフェッショナルの前でプレゼンを披露した。オーディエンスの多くは病院、薬局、メディカル機器などの医療関係で働いている。Heugens教授はPorter教授の40年以上にわたる取り組みの重要性を次のように説いた。「Porter教授は自分自身を継続的に進化させ、世界戦略などのコンセプトツールを測定・実証可能なものにしてきた。Porter教授のリサーチ、教示、コンサルタントはいつも私たちに影響を与えてきた」。Erasumus大学の名誉教授のPorter氏はHeugens教授からマイクを向けられ、「RSMは素晴らしいビジネススクールだ。多くの教授がオーディエンスの前に立つことができたのは素晴らしい」と、セミナーの成功を祝福した。

 セミナーの最後には、Rick Nieman氏による共有価値についてのパネルディスカッションが行われた。Mars Netherlandsの部長Jack Tabbers氏は同社の共有価値の創造について尋ねられ、次のように答えた。「“おもてなし”の提供が私たちのビジネスであり、ヘルシーダイエットもその一環である。私たちはカスタマーの声を重視しており、それは同社のバーのスマートな進化から見て取れるはずだ」。

 Erasmus Center for Health Care Managementの部長Wilma van der Scheer氏は、医療の最大の問題や価値ベースのヘルスケアへの移行はまだ実践段階にないという。「ヘルスケアはサービスであるが、医療専門家たちはそのような考え方を持つように教育されていない。それは患者への態度の問題であり、現在では専門家の自治権が患者の自治権より高く、そのような態度へ変えるにはトレーニングを繰り返し実施していくしかない」と同氏は説明した。
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