ソーシャルメディアコンテンツにレトリックが重要な理由

コンテンツマーケティング

ソーシャルメディアでは、オーディエンスが手ぐすねを引いて良質なコンテンツを待っている。私たちのソーシャルメディアにおける活動とは、文字通りオーディエンスにコンテンツにつながった糸を引っ張ってもらうことを目的としている。その結果、コンテンツは強化され、メッセージが拡散する。しかし、オーディエンスが同意できないコンテンツをいくら発信しても、いずれ引っ張ってくれるオーディエンスはいなくなる。

 多くのマーケッターがオーディエンスへのリーチとエンゲージにフォーカスしているが、コンテンツに含まれるメッセージが、オーディエンスに共鳴しているかを気にかけるものは少ない。もちろん、オーディエンスを引きつけコンテンツへの同意を促し、次の行動を起こさせるよう説得力に長けた人たちもいる。このような説得のスキルは、2500年前の古代ギリシャの哲学者が、オーディエンスを説得する術として分析していたものだ。

現代にも通用するレトリック

ソクラテスが現代にいるとすれば、インターネットに不満を示すだろう。彼は書き言葉が記憶を破壊すると考えていた。皮肉ではあるが、弟子のプラトンがソクラテスとの対話を書き残したため、ソクラテスの思考を知ることができる。プラトンは師匠より新しいメディアにオープンで、書き言葉と話し言葉がピュアなロジックと真実を表すべきだと信じていた。欧米に最も影響を与えた哲学者のアリストテレスは、議論における最も重要なルールがレトリックだと考えていた。レトリックは巨大なトピックで、テクニックが記述されたドキュメントは大量にあるが、アリストテレスのレトリックは、現代のマーケッターがソーシャルメディアにおける成功や失敗の原因を明らかにするのを助ける。

 すべての問題が、データから読み解けるわけではない。あるメッセージはオーディエンスと共鳴するが、もう一方は反発が返ってくることもある。同じアイデアに基づいたキャンペーンでも、片方は成功しても、もう一方は失敗に終わるのは、何が原因なのだろうか?オーストラリアのある事例から紐解いてみたい。

タクシー産業VS Uber

2015年、オーストラリアのメルボルンで、タクシーの利用客がUberのサービスに流れるという事態が起こった。危機感を持ったVictorianタクシー協会は、PR代理店を使い、ソーシャルメディアでPRキャンペーンを展開した。YourTaxis.com.auのウェブサイトは2015年5月、ソーシャルメディアのハッシュタグ#Your Taxisキャンペーンとともに、タクシー体験のストーリーを募った。しかしオーディエンスがシェアする体験談は、失礼なタクシーや悪臭、暴力被害のネガティブな体験に集中したのだ。そしてタクシーシステムの非効率性や、顧客の不満やフィードバックを無視することに対する不満で溢れてしまった。

 ソーシャルメディアキャンペーンの戦術は、決して間違ったものではなかった。正しい場所で、正しいオーディエンスに対するコンテンツ発信ができていた。しかし、レトリックの観点に欠けていたと言わざるを得ない。アリストテレスがレトリックを詳述した『弁論術』では、単なる演説のテクニックではなく、オーディエンスを納得させる雄弁術、弁論術、雄弁術としてレトリックを説明する。重要なのは言葉を飾り立てることてはなく、オーディエンスのバックグラウンドを理解した上で、彼らの立場に立った言葉を発信することだと、古代ギリシャの偉人たちが教えてくれている。

企業から学ぶソーシャルメディアを成功させる秘訣

FacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルメディアで、ショップを開設するビジネスが増えている。当然企業が違えば、顧客を引き寄せるための戦略も変わってくる。その中から、大きく成功を収めるビジネスが生まれている。いくつかのソーシャルメディアキャンペーンを成功させている企業と成功の秘訣を紹介したい。

Cisco

ソーシャルメディアでマーケットしている企業を思うとき、Cisco Systemsのビジネスを最初に思い浮かべる人は少ないだろう。ソーシャルメディアにおいては、B2C企業がリードする傾向になる。だが、Ciscoのソーシャルメディアキャンペーンは、うれしい驚きに満ちている。キャンペーンのテーマは、“これより最良の時間はない(There’s Never Been a Better Time)”だ。

 世の中に不確実性が覆う中、キャンペーンは未来のポジティブな方向性を作ることにフォーカスした。Ciscoはカスタマーを招き、世界をより良い場所にするためにはどうすべきか話し合ったのだ。Ciscoが強調したのは、実体のあるテクノロジーの実現についてのストーリーで、ターゲットマーケットのより多くの人々に関連性のあるITインフラを拡大できるとした。このようなキャンペーンは、オーディエンスのニーズを確実につかむことができるため、ソーシャルメディアで効果を発揮する。

Staples

ペーパークリップやノートブックは、ソーシャルメディアのチャットで話題になることは少ない。だがStaplesは、退屈だと思われている文房具を、戦略で楽しいものに変えることに成功したのだ。その戦略とは、製品とユニークなメッセージを組み合わせたイメージを発信するシンプルなものだった。オフィスに楽しみの要素を加えるアイデアを提供することで、売り上げにもつながるという成功例だ。

Pampers

赤ちゃんほど魅力的な存在は他にないため、オムツメーカーのPampersのソーシャルメディアマーケティングは簡単だと思うかもしれない。しかし実際にオムツを使っている家族にとって、オムツはそれほど魅力的な存在ではない。そのためPampersが選択したのは、オムツ交換に関する要素を無視する戦略だ。代わりに、親が抱く赤ちゃんを育てることの幸せと愛情にフォーカスした。

 ソーシャルメディアキャンペーンでは、親と赤ちゃんの特別な絆を強調した。絆は、赤ちゃんのおしっこをネタにしたジョークやオムツの機能より、強く心を揺さぶる効果がある。ソーシャルメディアでセールス色の強いアピールをするのではなく、感情に訴えかける戦略で成功を収めている。
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