CSV vs. サステナビリティ議論は続く

CSV

関連キーワード

CSVとはCSRとは

公共サービスを提供する民営企業として、ユニークな役割を担いたい。Countrywide Financial CorporationのCEO、Angelo Mozilo氏の願いである。「住宅ローンサービスを提供する以上の企業でありたい。人々の生活にポジティブな違いを与えることが私たちのゴールだ」と同氏は語った。2003年、ハーバード大学で行われたスピーチでのことだ。

CSV(共有価値の創造)は新たなコンセプトではないが、サステナビリティのフィールドにおいては新鮮な用語となる。このコンセプトは語る人により、サステナビリティ、CSR、CSVと使い分けられるが、ほぼ同じ事を意味する。それは、職場や社会、企業周辺の経済について積極的に考えている企業が、長期的に繁栄するというコンセプトだ。

Porter氏とKramer氏が試みたのは、社会問題として積極的に新製品やマーケットを開発する企業に強調することで、CSVを区別することだった。例えば、アフリカの過疎地の妊婦をターゲットにしたGEの超音波検査機などだ。だが私たちはこれからも、社会や環境問題に対処するという観点から、製品やマーケット、ビジネスのあり方について考え直す必要がある。

CSVは、企業が特定のビジネスにフォーカスしたときにチャンスが広がる。だが今日では、多くの企業が多数のサステナビリティの問題に対処しようとするため、ビジネスと社会的価値の向上を両立する投資ができていないという問題がある。

魅力的だがリスキーでもあるCSVのシンプルさ

企業の成功が、社会の成功を意味する。そのシンプルさが、CSVの魅力でもある。だがこのことで、企業は困難な問題に対処するとき、価値の判断をする必要がなくなると信じるようになる。SustainAbilityのボードメンバーPeter Zollinger氏は、次のように指摘する。「長期のビジネスの成功とグローバルなサステナビリティは自然に両立し、難しい判断なしに最大化すると信じるという、愚かな方向に導くリスクがある」。

先述のGEの超音波検査機には確かにCSVの要素があるが、GEと製造元はインドで同製品が、性別選定の手段に使われているという責任を負う。このインドの状況を、GEが解決するのは困難である。ここにCSVが抱えるジレンマがある。CSVは根源的な質問に答えられないのだ。その質問とは、“企業の基本ビジネスモデルや活動は、地球や社会にとってベストな利益をもたらすのか”ということである。

確かにCSVはサステナビリティの別方向の矢印、つまり社会的ニーズに対応しながらビジネスとして成立させるコンセプトとして歓迎されるものだろう。だがその矢印は、サステナビリティ、CSRトレード、ステークホルダーエンゲージメント、水平スキャニング、イシューマネージメント、コミュニケーションという伝統的なツールと同列のものであるとの認識に、どどめるべきものなのかもしれない。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あなたのおすすめ記事

CSVのおすすめ記事