顧客満足を極大化させながら収益に貢献するブランディングとは

ブランディング

ブランディングとひと口に言っても、さまざまな捉え方があります。ここではその認識を共通化するために、ブランディングを定義します。
ブランディングは「商品価値をブランド価値全体に引き伸ばし、その結果、ブランドがビジネスに貢献することを目指す」手法です。
ブランド価値を引き伸ばし、最大化するためには、以下の2つの業務が必要です。
・基本業務=商品開発(マーケティング)―−商品提供価値をつくる仕事
・応用業務=ブランディング−−コンテンツ提供価値、リレーション提供価値をつくる仕事
このふたつが相まって、商品価値全体が決まっていきます。基本業務での商品提供価値は、商品が発売当初の段階で決まっています。その反対に応用業務でのブランディングは、発足後に増加していきます。

商品の価値に頼り、それを伝えることに重点が置かれた従来のマーケティング

従来のマーケティングでは、商品提供価値を伝えること(プロモーション)と手渡すこと(プレイス)が強調されていましたが、あくまでも商品の価値に頼っていた活動でした。ブランディングでは顧客に価値を伝え、手渡した後の活動にも価値があり、顧客が支払って良いという対価を上げることができるという考え方です。そして、ブランディングで独自の価値を付加できればできるほど「このカテゴリーではこのブランドを選ぶ」という顧客の頭の中の選択順位が高まり、競争関係から開放されることになります。

商品そのものの価値以上の付加価値を与えられるブランディング

ブランディングとは、この後天的な魅力をどう加えていくのかという活動です。生まれ持った才能をどう伸ばしていくのか、それによって周囲を惹きつける魅力を増すための生き様のようなものと考えると良いでしょう。

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長期滞在型のリゾートタイプのホテルのブランディングについて

リゾートホテルの場合でブランディングを考えてみると、どのようになるでしょう。施設、ロケーション、飲食や接客の質、オプションの魅力度、グレード感などが商品提供価値を構成します。

事前にオプション・メニューをカスタマイズし、顧客とともに特徴を探る

コンテンツ提供価値については、長期滞在度合いに応じて、事前にオプション・メニューをカスタマイズするサービスは、そのやり取りの過程に意味があります。顧客が前もって、そのリゾートの特徴や魅力を深く理解する学びにつながるからです。より深い知識があって現地で過ごせれば、商品提供価値に+αを感じ取ってもらえる可能性を高めます。また、滞在中に撮った魅力的な風景写真を公開してもらえるようにインフラを整備しておけば、コンテンツの鮮度を顧客の協力によって維持できます。

顧客の写真なども利用し、より鮮度のある情報を提供する

リレーション提供価値については、季節によって変化してしまう稼働率のバラつきを、いくらかでも平準化することも重要です。既存顧客に未経験のシーズンでの優先予約を案内するサービスは、直接的にはリピートが期待できますが、間接的にも常時、自社ブランドのリマインドや推奨につながります。また、滞在している顧客が郷土料理を調理する機会は、地元の人たちや調理スタッフなど、バック・ステージのスタッフとの人間関係が増えることになります。体感的に醸成される親近感はブランド価値になります。

企業がつくる価値、顧客がつくる価値のふたつがもたらすブランディング

ネットの発達によるコミュニケーション領域の広がりが、新たなブランディング創出の方向性をつくり出しているのが、現在の状況といえます。
企業側がCMを流したり、イベントを行ったりして商品の認知度を高め、購買へと結びつけるのは、これまで行われてきた販促活動です。これに対して、顧客側が提供するコンテンツが価値をつくる点が現在のブランディングが持つ新しい側面です。

顧客の体験による評価点や体験談がサイトに載ることがコンテンツの提供に

例えばリゾートホテルを選ぶとき、ホテルのHPにある写真や料理などだけではなく、顧客の体験によるホテル評価ポータルでの点数や、利用した顧客の体験談がサイトに載ることも新たなコンテンツ提供価値となります。つまりクチコミも最終的にはコンテンツ提供価値となってくるのです。もちろん、これは企業側がコントロールすることはできませんが、価値のある情報を発信してくれることもあるでしょう。

ネット社会の成熟によってブランディングにかかるコスト削減

従来のブランド価値は、創るためのコストがかかってしまう構造でしたので、大きな企業規模が必要でした。しかし、ネット社会がもたらしたメディア・コストの低減は、コンテンツ自体の提供コストも低下させ、リレーション自体を支える双方向のやり取りを行うためのコストも引き下げることとなったのです。これは、ネットがもたらしたブランディングにおける大きな利点といえるでしょう。

ブランディングにおける「絆」について

ブランディングおける「絆」という単語は、大きく2種類存在することを理解してください。ブランドの絆(=「ブランドと顧客」のつながり)と、生活の絆(=「顧客と周囲」のつながり)です。この2つは使い分けられています。
ブランディングでの絆は、ゼロからスタートする絆です。新ブランドとして全く顧客に知られていない状態から、多くの顧客に指示される状態を目指すわけですが、その過程で「ブランドの絆」も徐々にできてきます。そして、継続的なブランド利用を見込めるようになるのは、このブランドとの絆の強さうぃお意味しています。このブランドの絆の強いものを「ブランド・ロイヤリティ」ということもあります。
顧客の生活での絆は、誰もが持っている人間関係をベースにした絆です。生活そのものが絆なので、ブランドとは関係なく最初から存在しています。
ブランディングではその絆の強弱ではなく、クチコミやキキコミが起きる可能性が高い場として扱います。ここにも情報発信力がある人などは、ブランディングでも影響力がある層とみなします。

絆が導く顧客生涯価値への貢献

顧客生涯価値(Life Time Value=以下LTV)は、ブランディングで使う用語です。顧客が長期にわたってブランドを購入し続けることで企業が得られる価値のことで、通常は累計利益で示されます。また、生涯とは一生の意味ですが、実際には計算できないので、「最初の購入から1年間」などと期間を区切って、期間中の購入金額(=単価×利益率×頻度)に置き換えて計測するのが普通です。この金額が多ければ多いほど、ビジネスに貢献していると判断されます。顧客生涯価値は主にリピーターに関する指標ともいえます。
ブランドとの絆が強くなれば、ブランド・スイッチする顧客は減り、消費行動に迷いがなくなるので、ありがたい顧客が増えます。傷内より、あるカテゴリーで利用しているブランドを変更するのに抵抗感を覚えるわけで、言い方を変えると、「ブランドの絆」にはスイッチング・コストを高める効果があるのです。

良い絆は企業側では創れないが、促すことはできる

絆が強ければ顧客生涯価値(LTV)は上昇しますが、ブランド価値への顧客満足が高いことが前提となります。顧客満足を挙げる為にはブランド価値自体が高まる必要があるので、直接的な広告費や販促費をいくらかけても「良い絆」はできません。しかし、「ブランドの絆」が強くなるように促すことはできます。特に顧客とのコミュニティを通じた関係などは深く印象に残りますし、ネットを活用することにより、顧客・企業双方の手間や費用を最小限にしてコミュニティを運営できるようになっているからです。
そういった場があれば絆が顕在化しますし、顕在化してくれればコミュニケーションや応対を通じて絆が強める確率が上がることになります。つまり「場つくり」が重要なサポート活動になるのです。ブランディングのコンテンツ提供価値、リレーション提供価値もブランドが「良い絆」につながることを視野に入れて構築されることになります。

ブランディングで起こりやすい間違いを避ける

ブランドを立ち上げるという行為には、大きな困難が伴う。
ブランディングの高いスキルとハードワークは絶対に必要であり、そして運さえ味方に付けなければうまくいかない場合もある。ブランディング活動における間違ったひとつの決断が、ベストなアイデアでさえ失敗に導いてしまうこともある。あなたがそのような失敗をしないため、これから紹介するブランディングのプロセスで起こりやすいいくつかの間違いを参考にして欲しい。

顧客志向でライバルと同じになる
中国のGreat Wall Motorは、中国人はSUVよりセダン車のほうが好みであるとの調査結果を入手した。
SUVは社会的地位の低い実用車で、セダンは高級車とのイメージがあるからだ。そこでGreat Wall Motorが選んだのは、SUVにフォーカスすることだ。なぜなら、他のメーカーがセダンに集中するだろうとの予測からだ。結果、同社は中国で最も利益を稼ぐ車メーカーに成長した。

ひとつのことにフォーカスしない
すべての成功しているブランドは、何かしらにフォーカスしている。ピザ業界No1のPizza Hutの場合、 “リーダーシップ” にフォーカスしている。No2のDominoは、 ”ホームデリバリー” に、No3のPapa Johnは ”食材の質” に、No4のLittle Caesarsは ”1枚の値段で、1もう枚付いてくる” にフォーカスすることで、市場の上位を独占している。

新規ブランドを立ち上げる起業家も、ユニークな自社のアングルにフォーカスし、経営活動やブランディングをそのアングルに沿った形で行わなければならない。自分自身に問いかけてみよう。自分のブランドはどのカテゴリーに属するのか?そして短いストレートな言葉で、自社の特徴を表現してみよう。

ビジュアル面を軽視する
パワフルなブランドには、強烈にコンシューマーに訴えるビジュアル的要素がある。コカ・コーラの瓶の曲線美、マルボロのカウボーイ、コロナビールのライム、GEICO保険のカエル、アフラックのアヒルなど。

起業家は商品やサービスを立ち上げると同時に、マーケティング戦略を強化するものとして、ブランドを象徴するイメージをビジュアル的に訴えかけるものを見つけなければならない。時には、ブランド戦略やブランド名の変更が必要になるほど、ビジュアルは重要な要素なのだ。

デザイナーのオファーは通常、デザインの相談からサイドプロジェクトまで多岐にわたる。では、あなたのブランドが提供するものとはなにか?成功を確実にするブランド戦略を立てた上で、ブランディングの実践ができているだろうか?

Volkswagen、Audi、Porscheの違いとはなにか?いずれも同じ会社の傘下にあり、エンジニアやパーツをシェアしているが、親会社のVolkswagenは、周到なブランドフラグメンテーション戦略を持つ。サザンニューハンプシャー大学の伝統プラグラムとオンラインプロジェクトは、同じプロダクトスペースにある。どちらも学位習得のために用意されているが、方法やオーディエンス、人生のステージにおいてまったく別の特徴を持つ。

あなたのブランドにとって、どちらが正しい選択か?

 自動車メーカーのデザイナーであれ、大学などのブランド戦略かであれ、ビジネスのファーストステップとして、次の質問に答える必要がある。これらの質問に答えられたとき、明確なゴールに向け集中できる。

・オファーの違いからサブブランディングするメリットは?
・ブランドフラグメンテーションのメリットは?
・ブランドの最も重要な価値とは?

サブブランディングVSブランドフラグメンテーション 

サブブランディングは、多くの企業や高等教育機関で活用される一般的なアプローチになる。サブブランディングには、通常のブランドと以下のポイントで共通する。

・メッセージ
・カラーパレット
・タイポグラフィ
・フォトグラフィ
・ストラクチャとスタイル

 しかしサブブランディングには、ほとんどのマーケティングとオーディエンスゴールに効果的なものと一致しない領域もある。

 一方でブランドフラグメンテーションは、ビジネスの別エリア間の一時的なリンクを保つ。だがそのリンクは、決して断ち切られることがない。

 トヨタ自動車がLexusを立ち上げたとき、トップクオリティの評価を利用する目的で、Lexusはトヨタのサブブランドであることを周知した。社名の変更と同時に、価格帯の違いでも差別化したのだ。Lexusのマーケティング素材はトヨタについて決して言及しないが、誰もが関係性を知っている。そこには暗黙の了解がある。Lexusは違う、高価、価値があるというマーケットの印象ができあがっている。だからLexusのドライバーは、トヨタ車より高価でも購入するのだ。

ブランドフラグメンテーションには、同じプロダクトスペースで複数のブランドを扱うことで、ロジスティクスやマインドシェア、デザインコストなどに大きなメリットがある。さらにPorscheに代表されるように、ユーザーに特別感を与えられる点が最大のメリットだ。Volkswagenを廃止して、売り上げの22%を占めるPorscheブランドに統一すれば、当初は大きな利益が見込めるだろう。だが、特別感は薄れることになる。

サブブランディングとブランドフラグメンテーションどちらを選択するにしろ、ユーザーのニーズをつかみ損ねては、失敗することになるだろう。

広告を7回出して、初めてコンシューマーに気づいてもらえる、とはよく聞く格言である。しかし、マーケティング戦略はデジタルの時代に入り、進化し続けている。この古いルールは、現代には当てはまらない。だが、ブランドをコンシューマーに気づかせるのは、やはり簡単ではないのが実情だ。

あなたのブランドは、企業としてのアイデンティティを反映する。そのため企業は、コンシューマーに存在価値を示すことをブランドに期待している。しかも、適切なオーディエンスに気づいてほしいと願っている。そのために何をすべきか、参考になるヒントをいくつか紹介したい。

ロゴを目立たせる

最初に確認すべきは、ロゴに使うブランド名が、ターゲットオーディエンスと共鳴するかどうかである。この段階をスキップしてしまえば、後でリブランドが必要になるなど時間の浪費につながるため、すべての作業に先んじて確かめる必要がある。

ロゴにはあなたのブランドを象徴する役割があり、コンシューマーのビジュアルに直接訴えかける効果を持つ。そしてロゴにとって、カラーは重要な意味を持つ。カラーの心理学は、基本的なものでも考慮する必要がある。カラーには人それぞれのバイアスがあるため、誰にでも同じ効果を与えるわけではないが、そのインパクトは無視できない。例えばイエローは楽観的で、明快さや暖かさを、ブルーは信用と信頼、そして強さを表現する。そのような色の効果を知ることで、リードやカスタマーに正しいシグナルを発信できる。

それ以外にも、フォントもロゴのイメージを左右する。セリフフォントは信頼を、サンセリフフォントは正直さを感じさせる。またロゴの形状からも、カスタマーに与える印象が大きく変わる。社内にプロのデザイナーやイラストレーターがいない場合は、専門の外注サービスを活用することをすすめる。

マーケティングアイテムの効果

文房具やカタログ、チラシ、マグカップ、USBチャージャーなど、カスタマーがこのようなプロモーション向けアイテムを直接使うことで、ブランドに気づかせるマーケティングツールになる。そこにはロゴと同じ法則が働く。アイテムに重要なのが、イメージの要素だ。もし、ターゲットオーディエンスに対する理解が深ければ正しいイメージの選択が可能になり、ブランディングの成功の可能性が高くなる。例えばミレニアム世代にアピールする場合は楽しさ、スピード、エキサイトメント、アクション、チェンジなどの要素を優先させる。“手短な喜び”を求める世代に、小難しく手の込んだ、使うのに苦労が伴うアイテムは受け入れられないだろう。

ブランディングは、企業の成功を約束する重要なファクターである。そのため、正しいブランディングを知り実践することは、企業全体のために不可欠なこととなる。魅力的なブランドを持つことで、コンシューマーのポジティブな感情とブランドが結びつく。その段階まで到達すると、顧客としてエンゲージするのが容易になるだろう。

プロフェッショナルの価値

ビジネスを立ち上げると決めた瞬間から、やるべき事が次から次へと生まれてくる。
そのほとんどの項目が、あなたの専門外のことであることは珍しくない。
そして効果的なブランディング戦略の立案は、「まず何から始めるの?」の疑問を解くところから始まる。

ブランディングのプロと一緒に仕事をすることは、成功の道の第一歩としてスタートすることを意味する。
ブランドに特化したプロのアドバイスは、何事にも代え難い。
複雑なブランディングのプロセスの中で何を最初に、そして何を中心に進めたらよいのかを示してくれる。

ブランディングのプロがあなたのプランをガイドとして使いながら、ビジネスの評価をしてくれる。
そしてマーケットを調査してから、どのようなイメージ戦略をとればよいのかをアドバイスしてくれる。
彼らはあなたの会社をブランディングするために、ビジュアル的な要素だけでなく、電話対応や商品のパッケージの仕方まで、あらゆる視点からアシストしてくれるだろう。

プロフェッショナルを雇う正しいタイミング

信じられないかもしれないが、あなたがビジネスの名前を決める前からプロを雇うのが適切なタイミングである。
実際にブランドのネーミングは、ブランディングの重要な位置を占める。 ブランディングのプロセスにおいて、まずあなたが誰であるのかを定義付けすることが重要になるので、ウェブサイトデザイナー、グラフィックアーティスト、コピーライターのプロを確保する前にブランディングのプロを雇う必要があるのだ。
これは経費削減のためのスマートな決定と言える。
洗練されたコアなメッセージを持つことは、ウェブサイト作成や関連作業に経費をかけるまえに終わらせておかなければならない重要な仕事なのだ。
そのステップを怠ってしまえば、準備した素材の見直しを終始繰り返すことになるだろう。

プロフェッショナルの選び方

ブランディングのプロを見つけるベストな方法は、あなたが属する産業の他会社をくまなく調査し、どのサイトが最も会社の価値を伝えていることに成功しているのかを観察することだ。
まずウェブサイト全体の雰囲気は一般向けであるか、更に発信するメッセージはプロフェッショナルな貫禄がありながらシンプルであるかどうか。
そしてあなたが最も優秀だと思うサイトを運営する会社に、誰が担当しているのかを聞き出すのだ。

ブランディングのプロフェショナルに、どの作業にどれだけの報酬を払うか明確にガイドラインを示すことは不可能である。
報酬の方法を大まかに分類すると、2つの要素に依る。
ひとつはプロが関わる範囲レベル、そしてあなたが求める専門性のレベルにおいてである。

ビジュアル要素の作業を省くことで経費を抑えたければ、数千ドルの報酬になるだろうし、プロが関わる範囲を広げたければ、最終的に数万ドルの経費がかかるかもしれない。また誰をどの代理店から依頼するかで、報酬は変わってくる。

ブランディングがあなたの会社の将来を左右する大きな要素となることは、揺るぎない事実である。
注意深くベストだと思えるプロフェッショナルを雇えることを切に願う。
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